中国航空機メーカーのトンデモ提案「他国の航空会社買いまぁす♪」すごくヤバい! 国内に影響の可能性も
中国の旅客機メーカーCOMACが異例の行動に出ました。経営難に陥っている外国のラオス国営航空の買収を提案しているのです。どのような影響が考えられるのでしょうか。
中国航空機メーカーの買収、日本には影響ないの?
中国がアジアやアフリカ諸国への資本投入で世界への影響力を強めているのは既に知られていますが、今回は航空業界でもその手を使い始めたことが明らかになりました。そこから透けて見えるのは、中国はあらゆる手を用いてCOMAC製旅客機の販路を拡大していることです。
航空会社そのものの買収も欧米を中心に見れば異例と映りますが、中国は意に介さずに旅客機の販路の拡大には航空会社そのものを傘下に収めてしまえばよいという、同国の視点からは“効率的”な手法と見なしているのでしょう。今回のケースは、アメリカの古い例を参考にしたとはいい難いと筆者は分析しています。となると、中国はこの手法を今後も活用して世界で影響力を強めていく可能性は濃厚でしょう。
では、ラオス国営航空の使用機材を中国製が占めた暁に、日本路線就航へCOMACがラオス国営航空に声を上げさせる可能性はあるのでしょうか。
ラオス国営航空は現在、日本との直行便はありませんが、2019年に熊本空港就航を企図したことがあります。これは実現せずに、ラオス国営航空の現在の機材もA320とATR72といった小型機が10数機です。しかし、現在COMACはボーイング787やエアバスA350のライバルとなるC929を開発中です。C929を実用化し、「機材乗員とも経験を積んだ」と踏んだ後は就航の打診をしてくることも充分に考えられます。
その際、C929を使用機材として欧米の型式証明を取らずに乗り入れを求めてきたとしたら、日本はどう対応すべきなのか。日本とラオスの友好関係を進めようとするなら受け入れたほうがいいものの、旅客機使用の認可から見れば即断できるのか――。悩みどころとなります。
それゆえにCOMACによるラオス国営航空の買収については、ゆくゆくは“対岸の火事”とはいえなくなる可能性がありそうです。
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
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