大部屋「今も健在!」豪華個室人気の裏で… 東北-北海道むすぶ「太平洋フェリー」その利用実態とは

名古屋港―仙台港―苫小牧港を結ぶ国内最長の定期航路を運航する太平洋フェリー。このうち需要の高い仙台-苫小牧間は、太平洋側で本州と北海道を結ぶ競合2航路のちょうど“中間”の距離です。何が強味なのでしょうか。

個室人気、でも大部屋「今も健在!」

 太平洋フェリーの2024年度の旅客数は、コロナ前の2018年度比でほぼ100%まで回復。収入は120%と大幅に増加しました。収入が増えた要因として旅客運賃を2020年1月に約7%、2023年に約5%改定したことに加えて、個室の稼働率の高さがあげられるでしょう。

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苫小牧港へ入る「いしかり」(深水千翔撮影)

 榎本さんは「以前は、個室の空室が目立つ便も多かったが、今はどちらかと言えば、個室から埋まっていくようなイメージ。大部屋は空席があっても個室は満室ということもしばしばあります。」と話します。

 実際、「さんふらわあ」や「新日本海フェリー」など他社の状況を見ると個室指向が高まっており、新造船が就航するごとに、従来のような大部屋が無くなってきています。太平洋フェリーでも仙台―苫小牧専用の「きたかみ」では2等大部屋を廃止しており、トラックドライバー区画へも個室タイプを導入しています。

 では、今後建造される新造船もこうしたトレンドに沿って大部屋を廃止するかというと、榎本さんは今後については未定と前置きしつつ、「弊社は団体のお客様にも多くご利用いただいております。特に学生団体には比較的安価に乗れる大部屋の人気は根強く、そういった需要や時代のトレンドを踏まえつつ、より快適な船になれば」と話します。

 たとえば仙台の大学と北海道の大学は昔から定期交流戦が盛んで、太平洋フェリーの仙台―苫小牧航路は移動手段としてよく利用されています。これはカーフェリーが持つ移動用のバスの積載ができるという強みに加え、名古屋-仙台―苫小牧航路の「いしかり」や「きそ」が1度にたくさん人を乗せられるスペースを備えているためで、定期的な団体需要が存在することもこの航路の強みの一つであり、現状では大部屋の完全な廃止には至ってないようです。 

【住みたい…!】これが東北-北海道の太平洋フェリー船内です!(地図/写真)

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