大部屋「今も健在!」豪華個室人気の裏で… 東北-北海道むすぶ「太平洋フェリー」その利用実態とは
名古屋港―仙台港―苫小牧港を結ぶ国内最長の定期航路を運航する太平洋フェリー。このうち需要の高い仙台-苫小牧間は、太平洋側で本州と北海道を結ぶ競合2航路のちょうど“中間”の距離です。何が強味なのでしょうか。
サンライズに勝るとも劣らない“魅力”
最後に榎本さんにフェリーの魅力について聞いたところ「キーワードで言うとやっぱり『旅情』ですね」と話します。
「今や夜行の定期列車は『サンライズ瀬戸・出雲』くらいしか残っていません。そうしたなか、夜の港で出発前に船が止まっている姿を見ながら、『これから旅に出るんだ』っていう高揚感が味わえるのが、まさにフェリーだと思います」
豪華フェリーの先駆けとして快適な船内空間を提供し続けている太平洋フェリーは、名古屋や仙台だけでなく、関西圏や関東圏からの利用者も多くいます。その中には毎年夏になるとフェリーで北海道へ行くという人や、旅行会社のツアーで乗ったら気に入って今度は個人で乗船しに来たという人もたくさんおり、高い人気のほどが伺えます。
太平洋フェリーは仙台―苫小牧間だけでなく、名古屋―苫小牧などの長距離需要も伸びているといいます。別稿でお伝えします(つづく)。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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