石破氏退陣で「サンライズ」にまた乗れる…のか? くすぶる「廃止説」実際どうなのか JR首脳に聞いた今後
参議院選挙で自民党の大敗を喫した石破 茂首相の進退が焦点となる中、首相が愛用してきた寝台特急「サンライズエクスプレス」の行方も注目されています。老朽化が進む285系車両の後継について、JR首脳に聞きました。
「今のところ引退させる予定はない」
そんなサンライズエクスプレスについて利用者や鉄道愛好家がやきもきしているのは、285系が老朽化してきた中で「いつまで走れるのか」という点です。サンライズ出雲・瀬戸は1998年7月に運行を始めてから約27年が経過し、リニューアル工事があったものの車内外でほころびが見られます。

そこで筆者が運行する複数のJR首脳に尋ねたところ、285系を保有するJR東海、西日本が「次世代車両の開発協議を進めている状況ではない」という事実が分かりました。この反応は、東海道・山陽新幹線の検測専用車両「ドクターイエロー」の次世代車両を開発するかどうかを探っていた時と全く同じでした。
その取材結果に基づき、筆者は勤務先で2023年11月に「『新幹線のお医者さん』のドクターイエロー、現行車両でその活躍にいよいよ幕? 2020年代後半で引退と考える3つの理由」という記事を出稿。報道後の24年6月にJR東海が保有車両での検測を25年1月で終え、残る車両を抱えるJR西日本も27年ごろに引退させることを正式に発表しました。
あるJR首脳はサンライズエクスプレスについて「現在の車両(285系)で問題なく運転できており、今のところ引退させる予定はない」と前置きしながらも、耐用年数は「30年程度になるのではないかと考えている」として登場から30年の2028年ごろが一つの節目になるとの認識を示しました。
今は開発に向けて動き出していなくても、JR東日本が2025年6月に「新たな夜行特急列車」を27年春に導入すると発表したことに触発されて動き出すというシナリオも否定はできません。また、石破氏が首相の座を譲るであろうタイミングと比べれば、285系が第一線を退く時期がだいぶ先になるのは確実な情勢です。
それでもサンライズ出雲・瀬戸を存続させて次世代車両へとスムーズに世代交代するのであれば、残された時間が少なくなってきたのは間違いありません。果たしてサンライズエクスプレスという日はまた昇るのでしょうか。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。
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