自衛隊機に異常接近した「見慣れぬ中国の戦闘爆撃機」よく見たら日本初の超音速戦闘機に激似かも!?
2025年7月上旬、東シナ海上空で航空自衛隊の電子偵察機に異常接近してきたのは、中国オリジナルの戦闘爆撃機でした。しかも、その任務や役割、外観が日本のF-1支援戦闘機とよく似ているのです。
中国製JH-7と日本製F-1 なんか似てない?
JH-7の運用において重視されているのは、敵レーダー網の死角となる超低空進入能力と、各種空対艦ミサイルや対地巡航ミサイル、誘導爆弾の搭載・運用能力です。したがって戦闘機というよりは、むしろ海上自衛隊やアメリカ海軍の艦艇群に対する「槍」、すなわち打撃力としての役割が期待されています。

その外観や任務特性は、かつて航空自衛隊が運用していたF-1支援戦闘機を想起させます。F-1もまた国産開発の対艦・対地任務を重視した戦闘爆撃機でしたが、JH-7はそれを一回り大きくスケールアップさせたような印象のジェット機です。ゆえに、機体規模・航続距離・兵装搭載量のいずれをとってもJH-7はF-1を凌駕しており、その意味では「F-1の延長線上にある上位互換機」と見なすこともできるでしょう。
しかし、そうした機体の性格だからか、これまでJH-7が東シナ海に姿を現すことはほぼありませんでした。だからか、自衛隊機により接近写真として記録された事例は筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)が把握している限りなく、防衛省が公開した中国軍機の識別写真にJH-7が登場したのは今回が初めてです。その意味でも極めて注目すべき事象だと言えるでしょう。
ではなぜ、戦闘爆撃機という性格を持つJH-7が、電子情報収集任務に従事していたYS-11EBに接近するという動きに出たのか。現時点では明確な意図は不明ですが、少なくともJH-7が中国の防空において一翼を担っていることは確実であると言えます。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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