4tの「ドラム缶爆弾」が水面を跳ねる!?「勝利の爆撃機」が挑んだ命懸けの特殊作戦 結果は“未曽有の大洪水”
1941年1月9日に初飛行した英爆撃機「ランカスター」。その名を歴史に刻んだのが、特殊爆弾「アップキープ」を用いたダム破壊作戦です。強固な建築物を破壊するための特殊戦術と、成功の裏にあった壮絶な代償に迫ります。
「水切り」の原理を兵器に 特殊爆弾「アップキープ」の誕生
イギリス空軍が第二次世界大戦中に多数運用した4発エンジンの大型爆撃機アヴロ「ランカスター」。同機は1941年1月9日に初飛行すると、直ちに大量生産され、敵国ドイツの夜間爆撃に従事。最終的にイギリスを勝利へ導いています。
そんな「傑作機」に特殊な爆弾を組み合わせた、前代未聞のダム破壊作戦が大戦中に実施されました。
大戦中、アメリカとイギリスを主力とする連合軍は、ドイツ本土とその周辺地域のインフラや工業施設、軍事基地などを爆撃する戦略爆撃を行って、同国の戦争継続能力の低下を図る戦略爆撃を実施していました。そうした、重要なインフラのひとつに発電施設があります。軍需工場も民間人の生活も、電力なしでは成り立ちません。
そこでイギリス空軍が考え付いたのが、ドイツ屈指の巨大工業地域であるルール地方に電力を供給しているダムを破壊する作戦でした。ダムを決壊させれば、電力の供給を止められるだけでなく、洪水によりダムの下流域に大きな被害を与えることができます。
しかし、上から爆弾を自由落下させる通常の水平爆撃でダムを決壊させるのは困難でした。というのも、ダムは水圧に耐えられる造りのため、上からの攻撃には強く、破壊できるほどの大量の爆弾を、水平爆撃で命中させるのは難しかったからです。
このジレンマに対して、ヴィッカース社のバーンズ・ウォリス博士は、水面めがけて低く石を投げ、その石を水面上で連続ジャンプさせる「水切り遊び」にヒントを得て、反跳爆撃のアイデアを思いつきます。そして、このような爆撃方法に適したドラム缶型の跳躍爆弾を造り、これを横にした状態で逆回転をかけながら水面上低くから投下。水面の上を跳躍しながら進む爆弾を、ダムの胸壁(側面)にぶつけるという爆撃方法を編み出しました。胸壁にぶつかった爆弾はそのまま胸壁沿いに沈み、指定の深度に達すると起爆して、爆圧と水圧の相乗効果で胸壁を破るというわけです。この特殊な爆弾には、「アップキープ」の愛称が付けられました。





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