独占! 自衛隊の「最新自走砲」大規模な射撃訓練に密着 チョー重要なステップ「カンケーダンドーヘキ」って何?

大分県で実施された大規模な実弾射撃訓練に密着取材してきました。今回は19式装輪自走155mmりゅう弾砲が多数参加しただけでなく、レーダーや気象観測といった支援部隊の動きも見ることができました。

「カンケーダンドーヘキ」って何? 春秋が最適な理由とは

 改めて「関係弾道癖」について解説すると、これは砲弾の飛翔特性に影響を与える要因を分析し、射撃精度を向上させるため各火砲の“癖”を分析収集する概念です。砲弾は発射後、重力や空気抵抗、気象条件、砲身の特性などの影響を受けながら飛翔します。そのため、同じ射撃条件であっても、弾着位置が微妙に変わることがあります。

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西部方面特科連隊の前進観測班(伊藤洋平撮影)。

 関係弾道癖決定のための射撃は、これらの要因を考慮し、各火砲の射撃データを収集・分析することで、砲弾の飛翔特性をより正確に把握することが目的です。これにより、実戦において、より精度の高い射撃が可能になるのです。

 また、火砲は使用を重ねることで砲身内部が摩耗していくため、徐々に初速が低下したり、弾道が変化したりします。摩耗が進んだ火砲では、射撃諸元の補正が必要となるため、定期的な関係弾道癖の決定がより重要になります。

 加えて火砲の射撃精度には、装薬の温度が大きく影響します。装薬の温度が高いと燃焼速度が増し、砲弾の初速が上昇するため、射撃諸元(データ)の補正が必要です。

 こうした温度の影響を最小限に抑えるため、関係弾道癖の決定は春や秋に行われることが多いとのこと。これらの季節は、気温が比較的安定しており、極端に寒かったり、逆に暑かったりといった影響を受けにくいため、装薬の温度管理が容易になり、より安定した射撃結果を得ることができるからです。

 このように、関係弾道癖の決定には、装薬の温度管理、さらには気候条件も重要な要素です。砲兵部隊(特科部隊)は、こうしたさまざまな要因を考慮しながら射撃諸元を調整し、精度の高い射撃を実現するための訓練を日々積み重ねています。 (続く)

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