独占! 自衛隊の「最新鋭自走砲」大規模な実弾射撃に密着 “大砲ドーン”の裏で奔走「知られざる部隊」を追った

大分県で実施された大規模な実弾射撃訓練に密着取材してきました。今回は19式装輪自走155mmりゅう弾砲が多数参加しただけでなく、レーダーや気象観測といった支援部隊の動きも見ることができました。

ベテランに聞いた「FO」の重要性

 こうして修正射が終わると、今度は「効力射」です。これは、修正射によって得られた射撃諸元をもとに、目標に対して最大限の効果を発揮する射撃です。修正射によって着弾精度を向上させたのち、部隊全体で一斉射撃を行い、目標に対して決定的な打撃を与えます。

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西部方面特科連隊の情報中隊が運用する対砲レーダ装置JTPS-P16(伊藤洋平撮影)。

 そのため、前進観測班(FO)の役割は極めて重要で、教育部隊で約1年間の基礎教育を受けた後も、現場における経験の積み重ねが必須なのだとか。ベテランのFO隊員によると「一人前と認められるまでには5年以上の経験が必要。目視観測が基本ではあるが、弾着地が傾斜地や凹地になっている場合、必ずしも観測位置から弾着を直接確認できるわけではないため、弾着した土煙の上がり方などを頼りに距離感をつかむ場面も多く、経験を積み感覚を磨くしかない」とのことでした。

 今回の演習では、新人FOの教育も兼ねており、実弾射撃が始まるまでの間、ベテランFOの指導を受けながら、緊張した面持ちで図上シミュレーションを繰り返し行っていたのが印象的でした。

 なお、砲兵の射撃は通常、こうしたFOによる目視や光学機器を用いた観測によって修正されます。しかし、濃霧や豪雨などの悪天候時には、これら手段の使用が制限されるため、射撃精度が低下する可能性が高いです。特に、FOが目標を視認できない場合、修正射の精度が大きく損なわれます。そこで、これらの要因を補正するのに用いられるのが、レーダー観測射撃です。

 今回使用されていたのは、情報中隊が装備する対砲レーダ装置JTPS-P16。なお、悪天候時の射撃精度向上だけでなく、敵砲の発射位置を特定するのにも使われます。

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