まもなく登場! 海自期待の新艦種「哨戒艦」どんな船? 誕生の裏には苦しい “台所事情” が
海上自衛隊の次代を担う新型艦として「哨戒艦」が間もなく進水します。ただ、護衛艦ほど大きくなく、また武装もミサイルや艦砲などないため強くありません。しかし、この船が整備されることで海自の人手不足が緩和される模様です。
艦内は徹底的に省人化
乗員数は約30名と、あきづき型汎用護衛艦(基準排水量5050トン)の約200名、もがみ型FFM(同3900トン)の約90名と比べるとはるかに少なく、数だけでいえばひびき型音響測定艦(同2850トン)、ひうち型多用途支援艦(同980トン)の約40名と同程度に抑えられています。

これは、哨戒艦が洋上の警戒監視をメインに運用される艦種だからこそで、人員を減らしても十分な能力を発揮できると判断されたためです。一方で、少数でも問題なく操艦できるよう、自動で離着岸することが可能なシステムや、防火装置の遠隔化など省人化に対応した機能を盛り込む予定です。
防衛省は2022年6月30日、哨戒艦の新造に向け、JMUを主契約者に、三菱重工業を下請負者に選定したと発表。2023年度予算で4隻の建造費として357億円を計上しています。ちなみに、単純計算では1隻あたり89億円になります。2024年2月には、正式な建造契約が約317億円でJMUと結ばれました。
2022年末に策定された「防衛力整備計画」では約10年間で12隻の哨戒艦を整備する方針が掲げられています。2019~2023年度の装備品の見積もりを定めた「中期防衛力整備計画」、いわゆる「中期防」では、このうち4隻を建造することが示されており、これが建造中の1番艦から4番艦となります。
併せて哨戒艦部隊の新編も明記されており、近い将来、FFMと連携した常続監視態勢の強化が図られる模様です。
防衛省は2026年度予算の概算要求で5番艦と6番艦の建造費用287億円を計上しており、計画の実現に向けて急ピッチで整備が進められようとしています。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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