ついに退役迫る! かつて“景品にされかけた”有名すぎる戦闘機の40年 お茶の間を騒がせた事件とは
アメリカ海兵隊が運用するAV-8B「ハリアーII」の退役が刻一刻と近づいています。数々の実戦に参加し、一般にも話題を振りまいた40年を見てみます。
実戦で活躍した垂直離着陸戦闘機
アメリカ海兵隊が運用するAV-8B「ハリアーII」の退役を迎える日が、刻一刻と近づいています。2026年中にも完全退役する見込みの同機は、数々の実績とともに、日本でいう“お茶の間”も騒がせた人気者でした。

AV-8Bはイギリスで開発された世界初の実用VTOL(垂直離着陸)戦闘機「ハリアー」をベースに、アメリカとイギリスが共同開発したVTOL戦闘機です。アメリカ海兵隊は1985(昭和60)年から運用を開始。1991年の湾岸戦争や1999年にコソボで行われたアライド・フォース作戦、2001年にアフガニスタンで行われた不朽の自由作戦、2003年のイラク戦争など、数々の実戦に参加しています。
湾岸戦争ではアメリカ海軍の強襲揚陸艦「ナッソー」に20機が搭載され、「ナッソー」は「ハリアー空母」として運用されました。
近年では海上自衛隊のいずも型ヘリコプター搭載護衛艦や、イタリア海軍の「カブール」など、ハリアーIIの後継機として開発されたSTOVL(短距離陸・垂直着陸)戦闘機のF-35Bを搭載する軽空母が出現していますが、「ナッソー」は、1982年に発生したフォークランド紛争におけるイギリス海軍の空母や「ハリアー」と同様、軽空母と軽空母で運用できるジェット戦闘機の実戦における有用性を実証した存在と言えます。
岩国基地でのデモフライトで人気に
ハリアーIIはアメリカ海兵隊岩国航空基地にも1989(平成元)年から2017(平成29)年まで配備されていました。岩国基地の一般公開で、デモフライトの最後にホバリング(空中静止)し、機首を少し下げて「お辞儀」のような機動を披露したのを、印象深く覚えておられる方も、少なくないのではないでしょうか。
滑走路を必要とせずに離着陸が可能で、空中静止もできることから、ハリアーとハリアーIIは多くのフィクション作品にも登場しています。
1994年に公開された映画『トゥルーライズ』では、ハリー・タスカー役のアーノルド・シュワルツェネッガーがハリアーIIをホバリングさせながらビルの高層階の窓に現れるというシーンがあります。この映画のヒットにより、ハリアーIIはマニア以外からも広く人気を集めることとなりました。
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