海自の「次期潜水艦」はデカくなる!? たいげい型から大変化か 来年度から設計の検討が本格化へ
VLS搭載型潜水艦の課題とは?
次期潜水艦の新たな運用構想図も明らかに
防衛省は、2025年8月に公表した今年度の「事前の事業評価」において、VLS(垂直ミサイル発射システム)を搭載した次期潜水艦の設計検討に関する研究を、来年度から29年度にかけて実施する方針を示しました。あわせて次期潜水艦の新たな運用構想図も公開しました。

日本政府は、2022年12月に発表した防衛力整備計画に、VLSを搭載した潜水艦を開発することを明記しています。VLSを搭載した潜水艦は、敵の脅威圏外にある離れた位置から攻撃が可能な「スタンド・オフ防衛能力」の一翼を担うことになります。
VLSを備えた潜水艦は既にアメリカ、中国、ロシア、北朝鮮、韓国などが建造しています。一方、現時点で海上自衛隊の潜水艦で最新となる、たいげい型はVLSを搭載しておらず、国内で開発するのは初となります。
防衛省は今年度予算に「水中発射型垂直発射装置の研究」として297億円を計上。発射プラットフォームのさらなる多様化や水中優勢獲得に向け、研究を進める方針を示しています。水中発射型垂直発射装置の研究試作は、次期潜水艦の設計検討に先行する形で今年度から始まります。
VLSを搭載した潜水艦は、限られた船体サイズの中に発射装置などの各種装備品を組み込む必要があるため、従来の潜水艦と比べて全長が長くなり、大型化する見込みです。防衛装備庁は開発にあたって、船体の大型化による被探知性能や運動性能の低下などが課題になるとしており、これらの課題を解決する技術を、来年度から始める「次期潜水艦(VLS搭載型)のトータルシップ最適化設計に関する研究」で獲得するとしています。加えて、垂直ミサイル発射後、迅速に次の行動へ移ることが可能な潜水艦姿勢維持技術の獲得も目指す方針を示しています。
この研究では、潜水艦のバーチャルモデルを構築し、様々な運用環境下で潜水艦全体の能力評価を行うシミュレータを活用。運動性能などのシミュレーションを実施し、設計案を具体化するとしています。
なお、次期潜水艦の船型開発検討作業を防衛省から受注している川崎重工は、2023年12月に独自のコンセプト案を公表しています。現在は、あくまで設計前のコンセプト案や研究の段階ですが、次期潜水艦に向けた動きは着々と進んでいます。その姿は「そうりゅう」や「たいげい」といった、従来の潜水艦から大きく変化するかもしれません。
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