25年で路線網“10倍以上”に 「世界有数の渋滞都市」がどうやって「鉄道都市」に変わったのか 最初は集客も苦労

タイの首都バンコクで都市鉄道のネットワークが急速に拡大しています。1999年にBTSが開業した当初は23kmだった路線延長が、現在は250km近くに達しました。

そこからの開業ラッシュがすごかった!

 このように2000年から2010年代なかばまで、ゆるやかに歩みを進めてきたバンコクの鉄道ですが、2010年代なかば以降は新路線がつぎつぎに開業し、“路線網”の整備が急速に進みます。

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SRTの市街側終点となる「パヤタイ駅」。この車両は特急型のエクスプレスからの改造車だ(植村祐介撮影)

 まず2016年には、将来的にバンコクの都市鉄道の要衝となる「タオプーン駅」から北西のノンタブリー県を結んで走るMRT「パープルライン」が開業します。翌2017年から2020年にかけては「ブルーライン」が全線開通、バンコク市街中心部の外周を巡るように、都営大江戸線のような「9」の字運転をはじめます。

 鉄道路線網の拡大は2020年代に入っても続き、まず2020年にはバンコクで初の新交通システムとなるBTSの「ゴールドライン」が開通。続いて2021年には「SRT(ステート・レイルウェイ・オブ・タイランド)」の「ライトレッドライン」と「ダークレッドライン」が一部開業し、現在はLCCの発着が中心となった「ドンムアン空港」からのアクセスが劇的に改善します。

 2023年にはMRT「イエローライン」と「ピンクライン」が開業し、バンコク北郊の東西交通が改善。2025年5月にもピンクラインの支線が開業し、大規模イベントがたびたび開催される「インパクト・ムアントーンタニー」へのスムーズなアクセスが実現しました。

東京の地下鉄網を超える勢い?

 こうして、2000年にはBTSスクンビット線とシーロム線で合計23km弱だった都市鉄道の路線延長は、現在250km近くに達しています。さらに、既存路線の延伸や、BTS「グレーライン」、MRT「オレンジライン」、MRT「ブラウンライン」などの新設も計画されており、東京の地下鉄網(東京メトロと都営地下鉄)の総延長約300kmを抜くのも時間の問題かもしれません。

 バンコクと同様、21世紀以降に鉄道網を急速に拡大させたアジアの都市は複数存在しますが、日本では都市鉄道の建設に10年単位の時間がかかることが珍しくありません。なぜバンコクでは、このように急速な鉄道網の建設が可能だったのでしょうか。

 まず第一に挙げられるのは、とくに郊外の都市計画において十分な道路幅が設定され、駅部分も含め道路上を導入空間として建設が進んだことです。そして日本においては日中の道路交通に配慮し、車線規制をともなう工事を夜間に集中させることがありますが、バンコクでは場所によっては大幅な交通規制により一気に建設を進めたことも、短期での完成に大きく貢献したと思われます。

【え…!】一気に“東京並み”になった「世界有数の渋滞都市」の鉄道網(地図/写真)

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