これが「中国との戦い方」 圧倒的に小さい「台湾」の防衛展示会に見る最前線

台湾の防衛関連展示会「TADTE」が開催。中国の軍事的脅威にどう対抗するのか、その最前線が見えました。そこにあったのは、最新の“無人装備”の数々でした。

無人で走って無人機を放つ装甲車!? しかも…

 陸上の無人装備品では、台湾で防衛装備品の開発を手がけている中山科学研究院(NCSIST)が出展した、偵察戦闘車に目が留まりました。これは簡単に言えば、陸空自衛隊で運用されている軽装甲機動車のような装輪式軽装甲車へ、俗に「自爆型ドローン」とも言われる徘徊型弾薬のランチャーを装備したものです。

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会場の様子(画像:TADTE)

 この種の車両は有事の際、敵と遭遇するおそれのある危険地帯への偵察に使用されるため、乗員に損害が発生しやすいのですが、今回、中山科学研究院が出展した偵察戦闘車は無人での運用が可能となっています。危険地帯への偵察任務における乗員の損害を減らすため、高度な自律運転機構を組み込んでいます。

 またこの車両はディーゼルエンジンを動力としている軽装甲機動車などと異なり、電気で駆動します。民間のEV(電気自動車)が発生する騒音の小ささに驚いたことがある人もいると思いますが、中山科学研究院がInstagramなどで公開している動画を見る限り、この偵察戦闘車も発生する騒音はかなり小さいです。敵から発見されにくいという偵察車両の必須要件は、十分満たしていると筆者は思います。

 電気推進の軍用車両への適用には、まだ解決しなければならない課題があることも確かですが、たとえばドイツでも現在運用されている偵察車両「フックス」の後継は電気推進とすることが検討されています。騒音の小さい電気推進は、将来の偵察車両のトレンドの一つになりうるのではないでしょうか。

「スイミーかよ!」なUSVとは?

 海上・海中で運用される無人装備品も多数展示されていましたが、アメリカ企業のMARTACが出展したUSV(無人水上艇)に目を引かれました。

 同社のUSVは「スウォーム」(群)運用を前提とする自爆突入艇です。まっすぐ目標に向かうのではなく、複雑な航路で目標に向かうのはもちろんのこと、群のリーダーの役割を担うUSVが敵の攻撃で撃破されても、リーダーの役割を他のUSVが瞬時に引き継いで任務を継続する機能も備えています。

 MARTACはTADTEの会場で中山科学研究院とUSVの共同開発・共同生産に関する覚書を締結しており、今後、台湾海軍にはMARTACのスウォーム運用能力を備えた自爆突入型USVが導入されるものと思われます。

【ウソ、これ無人!?】これが中国に対抗する「台湾」の最新装備です(写真)

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