「新幹線の父」をNHK朝ドラに 実現なるか? 地元で署名10万筆超 “新幹線計画”の追い風にも?

「新幹線の父」と呼ばれる故・十河信二元国鉄総裁の夫妻を主人公にしたNHKの連続テレビ小説の実現を目指し、出身地の愛媛県などが署名活動などを繰り広げています。どのような人物で、そしてどのような効果があるのでしょうか。

「四国新幹線」の追い風にも?

 西条市と新居浜市、愛媛県などは「十河信二と妻キクを主人公としたNHK朝ドラ誘致推進協議会」を2023年5月に設立し、朝ドラ化を要望する署名活動に乗り出しました。愛媛県の中村時広知事らが24年10月に東京都渋谷区のNHK放送センターを訪れ、「~人より純真でおおらかな妻が、人より我慢のできない男を支える~2人の愛情物語を、NHK朝ドラに、ご提案します。」などと記した提案書を手渡しました。

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十河信二記念館の展示(大塚圭一郎撮影)

 2024年10月25日時点で手書き署名と電子署名が合わせて10万5391筆が集まっており、現在も署名を受け付けています。

「2人の愛情物語」というと「あんぱん」を想起させますが、朝ドラ誘致のきっかけとなったのは隣県の高知県出身の植物学者、牧野富太郎博士(故人)の人生をモデルとした「らんまん」(2023年4―9月放送)でした。

 高知県は23年の県外からの観光客入込数が前年比27.4%増の472万2000人になったと推計し、効果が如実に表れました。中でも高知県立牧野植物園の入園者数は約2.4倍の44万2156人となり、高知県は「連続テレビ小説による効果に伴い、大幅増になったと考えられる」としています。

 十河夫妻の朝ドラが実現すれば愛媛県への観光客が増え、十河信二記念館や、隣接する「四国鉄道文化館」への来館を促すなどの経済効果が見込まれます。さらに、四国4県と経済団体などでつくる団体「四国新幹線整備促進期成会」が目指す四国新幹線の機運向上にも追い風になる可能性があります。

 ドラマ化した場合は配役も注目され、NHKのBS放送の番組「開拓者たちの決断 新幹線の父 不屈の闘い」(2016年)で十河氏を演じた大地康雄さんが再登板するのかどうかも焦点となるかもしれません。

 ただ、NHK側を動かすほど地元の熱意が高まるのかが第一の関門となりそうです。署名数をどこまで上積みできるのか、推進協議会が有効な誘致策を繰り出せるのかなど、真価を問われるのはこれからです。

【朝ドラになる顔!?】これが「新幹線の父」です(写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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