「140往復の高速バス路線」も更に拡充へ!? カギを握る「アウトレット行き」新系統 各地で増便も相次ぐ理由

全国で「アウトレットモール行き」高速バスの拡充が相次いでいます。アウトレットそのものへの交通機関のメインとなるだけでなく、結果的に周辺の通勤・通学需要をターゲットにしたような路線も充実するという構図があるのです。

10分間で「8台発車」も!?

 なお、この路線を京都側のバス事業者が運行すると、三田を1往復するだけで終わってしまい、片道1600円では収支が合いません。三田を拠点として1日に2往復できる神姫バスだから実現した路線だと言えます。

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バスターミナル東京八重洲からは木更津と酒々井のアウトレット行き高速バスが同時発車することも(成定竜一撮影)。

 運行開始日の10月14日は、万博終了のまさに翌日。万博輸送に全力投球した同社が間髪入れず新路線という訳で、アウトレット側、バス事業者側双方の期待がうかがえます。三田から京都へ、また京都からアウトレットへ、いかに認知度を高め需要を掘り起こせるか、両者の腕の見せ所です。

 さて、アウトレット行き高速バスの次なる課題は、周辺の観光地と組み合わせた観光ルート(観光回廊。コリドー)の形成です。

 クルマでの旅行なら、御殿場を筆頭に、那須ガーデンアウトレット(栃木県)などもドライブ帰りに立ち寄りやすい立地です。ふかや花園プレミアム・アウトレット(埼玉県)は、休日夕方の関越道の渋滞ピークを避けるため時間つぶしに寄る人もいます。

 しかし直行高速バスの利用者は、どうしてもショッピングに目的意識の高い客層に限定されがちです。

 御殿場こそ、箱根や富士五湖へのバス路線が充実して周遊も可能ですが、他の施設でも、神戸三田と有馬温泉、鳥栖プレミアム・アウトレット(佐賀県)と太宰府や日田など、日本人、FITそれぞれを対象とした観光回廊の候補はありそうです。今後は、観光のついでにアウトレットにも立ち寄る小旅行の需要を作り、周辺地域にも経済効果を広げる取り組みが求められます。

【スゴ…!】開設7年で本数“54倍”になった高速バス ビフォーアフター(画像)

Writer:

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。新聞、テレビなどでコメント多数。

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