「ボーイングが新型旅客機開発」報道→ライバルも“戦々恐々”か!? 旅客機の売り方も変わるかも

アメリカで「ボーイングが新型機開発に乗り出した」と報道されました。この報道が正しければエアバス、さらに中国のコマックも販売戦略の練り直しを迫られるかもしれません。

ライバルは「ボーイングの新型機」どう見るべき?

 エアバスの主力製品で、737MAXをはじめとする737シリーズのライバル機にあたる「A320ファミリー」については、エンジン改良型の「A320neo」の初飛行が2014年。さらに直近は胴体を延長しつつ、小型単通路機では最長となる約8700kmを飛ぶ能力を有する「A321XLR」が2024年にイベリア航空で就航しています。

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エアバスのA320neo。プラット&ホイットニー製エンジン搭載モデル(画像:エアバス)。

 現状ではA321XLRへの対抗機種は737MAXにありませんが、仮にボーイングが新型機にA321XLRと同じ程度の航続距離を持たせるなら、登場までの間、エアバスは今以上にA321XLRの販路拡大にまい進しなければならないでしょう。

 逆にボーイングが新型機をA320neo程度の席数をメインに開発しようとするなら、A320neoが現状のスペックでどこまで新型機に対抗できるのか、仮にもし対抗が難しいのなら、エアバスとしていつ新型機の投入を目論むかなど将来への戦略を明確に描かねばならないでしょう。

 中国のコマックへ目を移すと、C919の海外販売は2024年に本格化させ、これまでにチベット航空が購入契約を結んでいます。また今後はC919より大型のC929、そしてさらに大型で、ボーイング777とエアバスA350のライバル機に相当するC939を開発する構想も掲げています。

 ボーイングが新型機を出さないうちは、コマックはC919を「もっとも設計が新しい旅客機」とうたってセールスすることができます。

 しかし、C919はLCC(格安航空会社)も含めた世界の多くの航空会社の関心を寄せているとはいえず、そこへ“老舗”のボーイングが新型機を明らかにしたなら、世界の航空会社の購入意欲はボーイングへ傾くのは間違いありません。C919の販路拡大はコマックの至上命題であることは明らかで、今後さらにC919の海外セールスへ躍起になると思われます。

 果たして、ボーイングは新型機開発を表明するのでしょうか。2030年代半ばの市場投入が変わらないなら、そろそろ正式に開発が決定していてもおかしくありません。

 しかし同社は現状発表されている最新鋭機に課題も抱えています。「737MAX」シリーズの737-7、737-10の2型式は、初飛行に成功しているものの、まだFAA(アメリカ連邦航空局)の認証を取れていないことから実用化には至っていません。さらに400席超えの座席を搭載できる次世代大型旅客機「777-9」の就航も、これまでは2026年が予定されていたものの、そこからさらに1年遅れになるとの声も聞かれます。それゆえに今後のボーイングの動きに注目しなければならないでしょう。

【画像】デカすぎ…! これが翼に驚愕機構が備わる「ボーイングの次世代大型旅客機」です

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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