「SLぐんま」の窮地を救う“大物助っ人”出動へ!? SLの代わりは“SLしかない”のか? 故障に続く脱線で全列車運休の異常事態
JR東日本の観光列車「SLぐんま」に使う蒸気機関車(SL)が脱線事故を起こし、2025年9~11月に予定していた全列車が運休する異常事態に追い込まれました。JR東日本幹部は難局を打開するため、“大物助っ人”の出動を検討していることを明らかにしました。
ピンチを乗り越えた矢先の事故だった
このトラブルとは、ディーゼルエンジンで発電した電気でモーターを回して走る電気式気動車GV-E197系を併用した一番列車となった2025年7月19日に、D51が故障したことです。高崎駅(高崎市)から信越本線横川駅(安中市)へ向かう快速「GV・SLぐんま横川」は先頭のGV-E197系が牽引し、3両の12系客車を挟んだ最後尾にD51をつなぎました。

高崎を出発後、本来は回っていなければならない動輪が止まったまま引きずられたD51が故障しました。列車は1つ目の停車駅の安中(安中市)で運転を打ち切りました。
D51の故障により、トラブルが起きた翌日の2025年7月20日に高崎から横川へ向かった「GV・SLぐんま横川」と横川から高崎への「SL・GVぐんま横川」はD51の代わりにC61を連結。7月26、27両日と8月2、3両日に高崎―水上(みなかみ町)間を往復した「SLぐんま水上」もC61が牽引しました。
「代走」が人気 「俺」の役不足が露呈?
しかし、C61は検査周期が来たためSLが2両とも不在となり、夏休みのヤマ場となる8月9~11日の「山の日」の3連休に借りてきたのは新潟車両センター所属の電気機関車EF64形1031号機(1981年製)でした。
この機関車は引退した電車を引っ張って解体する工場などへ運ぶ役割を担ってきたため、鉄道ファンから「死神」の俗称を付けられた変わり種。話題性抜群の電気機関車の緊急登板を受けて客車はほぼ満席となり、沿線には大勢の「撮り鉄」が押しかけるSL顔負けの人気を見せつけました。
一方、SLの代わりにGV-E197系が牽引した「SLぐんま水上」は、客席がガラガラだったとされます。JR東日本は「SLを引くのは俺だ。」の標語とともにGV-E197系を紹介するポスターを駅構内に貼り出して売り込みましたが、SLをひくことができても“客引き”には力不足なのが露呈しました。
D51の復帰を急ぐべく「引きずられた動輪を、委託先の企業がお盆期間を返上して修理した」(関係者)とのことで、修理後の動輪を取り付けて2025年8月25日に試運転が始まりました。試運転が順調に進めば秋の行楽シーズンに間に合うとの期待感が出ていましたが、脱線事故を受けてもくろみが外れました。
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