「SLぐんま」の窮地を救う“大物助っ人”出動へ!? SLの代わりは“SLしかない”のか? 故障に続く脱線で全列車運休の異常事態

JR東日本の観光列車「SLぐんま」に使う蒸気機関車(SL)が脱線事故を起こし、2025年9~11月に予定していた全列車が運休する異常事態に追い込まれました。JR東日本幹部は難局を打開するため、“大物助っ人”の出動を検討していることを明らかにしました。

「死神」に続いて招へい検討の“大物助っ人”とは

脱線事故を受け、JR東日本は万全の状態でD51を復帰させたい考えです。そのため幹部は、「死神」と呼ばれるEF64形1031号機に続き、新潟車両センターの“大物助っ人”を一時的に呼び寄せる「ウルトラC」を検討していると明らかにしました。

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JR東日本が駅構内に貼り出した「SLを引くのは俺だ。」の標語とともにGV-E197系を紹介したポスター(大塚圭一郎撮影)

それは、磐越西線の新津(新潟市)―会津若松(福島県会津若松市)間を走る観光列車「SLばんえつ物語」を牽引しているSL「C57形180号機」です。

C57はスマートな外観から「貴婦人」の愛称を持ち、180号機は第二次世界大戦終了翌年の1946年に三菱重工業が製造しました。新潟機関区配属。69年いったん引退し、磐越西線の脇の新津第一小学校の前庭で静態保存されました。

しかし、動態保存してほしいとの地元住民らの強い熱意を受けて復元修理され、1999年4月に「SLばんえつ物語」の牽引機として現役復帰を遂げました。SL列車で国内最長の片道111kmを楽しめるコスパ抜群の列車として高い人気を誇ります。

ただし、「SLばんえつ物語」は冬期を除く土曜と祝日に運行しており、これは例年の「SLぐんま」の運転日と重なります。この点を幹部に尋ねると、「もしもC57を『SLぐんま』に使う場合には、『SLばんえつ物語』の運行日以外に代走させる」と解説しました。

D51の動向が不透明な中で、検討されている「SLぐんま」のC57代走案が現実になるかどうかは分かりません。ただ、「貴婦人」が上州路を駆ける日が来れば、観光客らが押し寄せる起爆剤になることは疑う余地がありません。

【えーーー!?】これが「SLぐんま」に招へい検討の“大物助っ人”です(写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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