トラックの“あり得ない”使い方 「日本独自の特装車」とは? 外国人ならパニック必至!?
イベントなどでよく見かける地震体験車(起震車)は、実は世界的には例を見ない日本ならではの特殊なクルマです。阪神・淡路大震災をきっかけに導入が進んだこの特装車には、どのような機能や役割があるのでしょうか。
全国に100台程度が存在
「これはアカン」――関東大震災を再現する「地震体験車」の中で思わず声が出ました。突然突き上げがあったかと思うと、今度は床が大きくうねり、体が放り出されそうになります。その衝撃が終わりかと思うと、今度はゆっくりと横揺れがやって来ました。

「もしこれが前触れもなく来たら」「耐震という概念が希薄な大正時代の木造家屋ならどうなるか」と想像し、体験は一瞬で「遊び」感覚から「恐怖」に変わりました。
地域イベントでよく地震体験車を見かけます。子供たちには人気でエンターテインメント的にも捉えられがちですが、この地震体験車(起震車)は防災教育専用の特装車です。1995(平成7)年の阪神・淡路大震災をきっかけに、防災教育のため全国の自治体で導入の動きが広がり、メーカーも技術改良を進めて普及が加速しました。
地震体験車は自治体などが購入しており、全国に約100台程度が存在しているとされます。しかし世界的には例を見ない日本独自のかなり特殊なクルマでもあります。
海外では地震そのものが少ないため、起震装置は施設固定式で大学や研究機関の「地震シミュレーター」(地震波を再現する揺動台、shake table)がほとんどで、そもそも一般に体験できる施設は多くありません。
台湾・中国・トルコなど地震常襲国には、防災教育用として「地震体験館」や「防災教育センター」の中に一般に体験できる地震体験装置を設置している例はありますが、特装車を仕立ててまで巡回させるという発想はありません。台湾が日本から導入したことがありますが、試験的な例外です。
筆者(月刊PANZER編集部)が体験したのは、静岡県の地震体験車です。同県には東部・西部・中部・下田に各1台が配置されているといいます。体験した東部の車体は、導入3年目の日野製トラックベースで、製作したのは神奈川県相模原市の飛鳥特装という会社です。
この会社は地震体験車製造では国内トップシェアを誇り、最新モデル「A-EQ3AC2」などを開発しています。ACサーボモーターによる3次元の揺れを再現し、外部電源不要で車両搭載の発電機で稼働します。また、被災地で電源支援もできます。さらにVRゴーグルと連動した「防災VR地震体験車」も開発しているとのことです。
ばかばかしい