巡航ミサイルに「日本製エンジン」搭載へ!? その“現実味” ウクライナも熱望の破壊力

ドイツの防衛装備品メーカーであるタウルスと川崎重工業が、巡航ミサイル向けエンジン技術で協力を検討していると報じられました。川崎重工業はかねて、自社開発した小型のジェットエンジンをアピールしていました。

やるとしたら…? 日独協力の現実的な形

 ロイターは関係者の話として、タウルスと川崎重工業のあいだで、KEPD350の改良や新型ミサイルの共同開発など複数の協力の形態が考えられると報じています。

 現行の防衛装備移転三原則では巡航ミサイル用エンジンの輸出や技術移転は困難なので、KEPD350のエンジンに川崎重工業のターボファンエンジンをそのまま輸出して載せ替えるとは考えられません。また、KEPD350に搭載されているアメリカ製のウィリアムズWJ38-15ターボファンエンジンの改良に川崎重工業が協力することも、難しいのではないかと思います。

 一方、タウルスは2029年度のドイツ空軍への納入開始を目指して新型巡航ミサイル「タウルス・ネオ」の開発を進めており、KEPD350の500kmを上回る最大射程を得ることを目標としています。そこで、WJ38-15より軽量で効率の良いKJ10をベースとするエンジンをタウルス・ネオに組み合わせることでの、日独共同開発という形が、最も現実的なのではないかと筆者は思います。

 NATO(北大西洋条約機構)の一員であるドイツはアメリカの同盟国ですが、防衛装備品では過度にアメリカに依存したくないという強い思いがあります。そのことがタウルスと川崎重工業の協力の話に繋がったのではないかと思いますし、同志国であるドイツとの防衛装備品の共同開発は、日本の防衛産業を振興していくうえでも、また自衛隊の防衛力整備の選択肢を増やすうえでも、得るところが大きいのではないかと思います。

【小さっ!】これが「輸出されてミサイルになるかもしれない純国産エンジン」です(画像)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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