すごく細長いです「NASAの超音速テスト機」初飛行に成功! 米国の“音速規制”を変える嚆矢となるか

ロッキード・マーティンとNASAが共同開発した超音速実験機X-59が初飛行しました。今後のテストでいよいよ音速の壁を超える計画です。じつは、半世紀以上続く米航空規制を打ち破る可能性を秘めています。

初フライトは約50分

 航空大手のロッキード・マーティンは2025年10月28日、NASA(アメリカ航空宇宙局)と提携し開発した実験機X-59の初飛行に成功したと発表しました。

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タキシングテストのために移動中のX-59(画像:NASA)

 同機の設計はNASAが行い、製作はロッキード・マーティンが担当。超音速飛行をしつつも、静粛性を追求するため、既存の航空機と比べて著しく細い胴体を備えているのが特徴です。

 通常の超音速飛行だと大きな衝撃波(ソニックブーム)が発生してしまいますが、この機体は衝撃波の発生を極限まで抑えて静かに飛行することを目指しています。

 X-59は、カリフォルニア州パームデールにあるアメリカ空軍第42工場にあるスカンクワークスの施設から離陸し、50分ほど飛行したのち、同州エドワーズにあるNASAのアームストロング飛行研究センターに着陸しました。

 今後は、アームストロング飛行研究センターで各種試験に供される予定で、同地で超音速飛行にも挑戦する計画です。なお、ロッキード・マーティンによると、今回の初フライトではX-59は計画どおりに作動し、着陸までの間、さまざまなフライトデータやパフォーマンスデータを検証することができたとしています。

 アメリカは1973年に民間航空機による陸上での音速超過飛行を禁止しており、以降50年以上にわたってその制限がかかり続けています。

 衝撃波を大幅に抑制した超音速飛行が可能になれば、米本土で飛行機を飛ばすにあたって様々なメリットが生まれるため、今回のX-59の初飛行成功は、その第一歩となるかもしれません。

【写真】X-59実験機が空飛ぶ姿です

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