「やめたほうがいい」運転中の“ハンズフリー通話”はなぜリスク? “ながら運転”じゃなくても“心理学的に危険”な根拠とは
運転中のハンズフリー通話は違法ではありませんが、リスクの高い行為といえます。交通心理士によると、特に加齢などにより認知機能が低下している方や運転が苦手な方、あるいは運転に余裕がない状況では控えるべきと指摘します。
特に高齢者は自主的に「ハンズフリー通話」を控える選択を
島崎教授は、こういったリスクの可能性を前提とした場合、特に高齢者は自主的に「ハンズフリー通話を控える」ことを推奨します。
「情報処理資源が減っている状態、つまり加齢により認知機能が低下している方や運転が苦手な方、あるいは交通量が多い・天候が悪いなど運転に余裕がない状況では、その日の自分の体調や注意力を自己確認し、『今日は会話がきつい』『この状況では厳しい』と少しでも感じるのならハンズフリー通話を避けるのが賢明です。言うまでもなく、大事なことは『ルールを守ること』以上に『自分が事故を起こさないように調整すること』です」(島崎准教授)
また、運転中の「電話にまつわる危険」は、通話中よりも、着信時のほうが顕著に現れるとも話します。「着信があると、運転中に限らず誰しも『今すぐ出ないと切れてしまう』というプレッシャーを受けるものですが、こういった場面での運転は『空間認知』『注意配分』をいくらか削ぐことになる」と指摘します。
そのうえで、島崎教授は高齢ドライバーに対して「運転中は『電話に出ない』と決めておく。『電源を切っておく』というのも防衛手段になるでしょう」と話しました。
今回は主にハンズフリー通話に対する解説でしたが、「運転中の飲食」「運転中の喫煙」といった広義の“ながら運転”全般に言えるでしょう。なお、こうしたことによる前方不注意や安全不確認は「安全運転義務違反」に問われる可能性もあります。
認知能力の変化には個人差があり、また自分ではなかなか気づくことが難しいものです。だからこそ自分の状態や運転する状況を意識的に考え、無理のない運転行動を心がけることが賢明かもしれません。
なお、島崎准教授が参加するポッドキャスト番組「プロフェッショナルドライブ」では、こういった運転心理の疑問などをわかりやすく解説しています。 https://prodora.jp/
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。





余り、アタマを使って話すことをしない人にはわからないと思う。