2県の自動車道をガッチャンコ!? “ほぼ無料”約100kmの大動脈の“風変りな成り立ち”

能登半島の交通を飛躍的に改善したのが「能越自動車道」です。半島の富山県側からS字を描くように輪島市までをつなぐ線形は、2県の道路整備を一体化して誕生したため、風変りな成り立ちや構造が見られます。

「分断区間」と「ちょっとだけ有料区間」があるワケ

 こうした経緯により、現在の能越道は、自動車専用道路としての「小矢部砺波JCT〜七尾IC」および「田鶴浜IC〜徳田大津JCT」、現道活用区間の「小島西部交差点〜田鶴浜IC」、そして自動車専用道路でのと里山海道と重複する「徳田大津JCT〜穴水IC」、さらに能越道として新設された穴水IC以北が、輪島市ののと三井ICまで通じます。開通延長は約100kmです。

Large 20251115 01

拡大画像

福岡ICの料金所跡。2018年に廃止された(植村祐介撮影)

 七尾市内の七尾IC-田鶴浜IC間は未開通区間となっており、自動車専用道路の「田鶴浜七尾道路」として建設が進んでいます。既存のバイパスを活用している小島西部交差点〜田鶴浜IC間の途中に接続することで、分断を解消する予定です。

 また当初、富山県道路公社の管理により有料となっていた「小矢部東IC〜高岡IC」は2018年に実質無料化されています。これは料金所の統合の観点からで、各ICに設けていた料金所をいったん小矢部東本線・福岡本線の2か所に集約したのち、さらに福岡本線料金所を廃止したためです。

 そのため直轄方式により建設された「高岡IC〜七尾IC」、のと里山海道とともに2013年に無料化された「田鶴浜IC〜徳田大津JCT」も含め、現在は小矢部砺波JCT〜小矢部東ICの1区間以外は無料で通行可能です。

「富山の道までネットワークに組み込んだ」石川県

 さて、能登半島の富山県側の交通に大きく寄与した能越道ですが、実は石川県も、この能越道の恩恵に深く預かっています。それを象徴するのが、同県による「ダブルラダー輝きの美知(みち)」構想です。

 この構想は、南北に長い石川県に“ラダー(=はしご)”を架けるように幹線道路網を整備し、県土のさらなる一体化、北陸新幹線開業効果のいっそうの波及、大規模災害時の迅速な避難救援活動の実現を図るというものです。

 このダブルラダーの東側の縦軸には富山県内の能越道が想定され、能登半島中央部の平地を通り羽咋市と七尾市を結ぶ国道159号、さらにのと里山海道と、氷見ICからは国道415号、福岡ICからは国道8号の横軸で結ぶこととなります。

 つまり石川県としては、同県内を通るのと里山海道、国道159号だけでなく、かなりの部分で富山県内を通る能越道も、同県内のネットワークに組み込むことで、県土の強靱化を考えているのです。

 これに関連する事業としては、石川県の羽咋市内で国道159号のバイパス「羽咋道路」の東側区間3.3kmが、2025年11月1日に2車線で暫定開通しました。同時に開通する県道232号若部千里浜インター線に接続し、のと里山海道の千里浜ICへのアクセスがよりスムーズになりました。のと里山海道と七尾市を結ぶ“ラダーの横軸”の1本が改良されたといえます。

 このように整備された道路網により、観光での能登半島ドライブは、往路と復路でのと里山海道、能越道を使い分け、より立体的に楽しめるようになりました。しかも、いずれも無料で走れるのは大きなメリットです。

【能登半島の端まで“ほぼ無料”】これが「能越道」の全貌です(地図/写真)

Writer:

1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。

最新記事

コメント