なぜ“クルマ好き”が集まるように? 首都高「大黒PA」最初は“全く違う聖地”だった!? 目玉の施設がどうでもよくなったワケ
首都高の大黒PAは、今や世界中からクルマ好きが集まる観光地です。しかし、開業当初は今とは全く違うスポットとして期待されていました。当初の姿が“変容”した、その過程を振り返ります。
残念!ベイブリッジ見えなくなっちゃった!
ところが、完成間もない1990年代のうちに、誰もが予想しなかった事態が発生します。
あろうことか、大黒PAと横浜ベイブリッジの間に巨大な倉庫ができてしまったのです。これで素敵な景観は消え去り、デートスポットとしての魅力は削がれてしまいました。
この倉庫街の完成は、PA周辺のエリアでさらに予想外な事態を招きます。倉庫街の前の一般道で、深夜にドリフト走行をしながら暴走する「ドリフト族」が現れたのです。
もちろん、公道でのドリフト走行は立派な違法行為。それでも、こうした“不届き者たち”や、彼らの暴走行為を見物する人々は、次第に大黒PAの周辺に集まりはじめました。
この頃から、大黒PAには素敵な夜景を楽しみたい恋人たちをはじめ、一般の観光客が訪れなくなった一方、ドリフトを眺めたいクルマ好きなどが集結するようになり、一気に“クルマ好きの聖地”へと突き進んでいきました。
もしも巨大倉庫ができず、大黒PAが恋人たちの集まるスポットのままだったら……そんな大黒PAの“もしも”を想像するのも、楽しいものです。
ちなみに、クルマ好きとして大黒PAに集まる人たちは、PA内の飲食店を利用することが少ないようです。そのため、大黒PA内の飲食店は短期間でどんどんと入れ替わっています。話によると、大黒PAの飲食は儲からないとのこと。有名なファストフードチェーンもこれまで数多く挑戦してきましたが、どこも定着に失敗しています。
筆者(モータージャーナリスト・鈴木ケンイチ)も大黒PAを利用する一人のドライバーとして、飲食店が少ないのは寂しく感じます。なんとか定着して、少しでも飲食店の選択肢が増えることを願います。先月(2025年10月)末には「タリーズコーヒー」の開店をはじめ、建物エリアのリニューアルが行われたばかりですが、利用者には応援の意味でも、飲食店を積極的に利用してほしいと感じます。
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。





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