「カレーは防衛機密」潜水艦乗りのリアルに密着! “隠密”こそが最強、だから高給!?

海上自衛隊の潜水艦「とうりゅう」に乗艦。「知られていない」ことが強さに直結する潜水艦ですが、選択、食事、娯楽など、その知られざる「潜水艦乗り」の生活に迫ります。

潜水艦乗りを支える「現実的な」モチベーションとは

「とうりゅう」は海上自衛隊「そうりゅう」型12番艦、基準排水量2950トンで通常動力型(原子力ではない動力を持つ)では最大級ですが、限られた空間にできるだけ多くの機器を搭載する「高密度ぎ装」となっており居住区は広いとはいえません。乗組員のプライベート空間は9人部屋の3段ベッドの中だけです。

 持ち込める私物は極めて限られ、ネット環境もありません。日没時間に居住区が赤灯火に変わり、狭いベッドに潜り込むといじるスマホもなくデジタルデトックスになり、「赤灯の安らぎ」というような不思議な感覚を味わいました。

「とうりゅう」はそうりゅう型の中でも特徴的な艦で、前期艦がAIP(非大気依存推進)システムを搭載していたのに対し、「とうりゅう」と11番艦「おうりゅう」はリチウムイオン電池を採用してAIP用区画は補機室となって少し余裕空間ができたそうです。そこには様々な娯楽用書籍が固縛して収納されていました。そうりゅう前期型より蔵書量は多いかもしれません。

 とうりゅう艦長の明海2佐は、「潜水艦は知られていない」と語ります。目に触れる機会は少なく、災害派遣にも潜水艦が参加することはほとんどありません。潜水艦の行動は家族にさえ秘密で、航海に出てもいつ帰ってくるかは明言しません。

 示威を旨とする水上艦とは真逆で、隠密行動に徹することで抑止力となるのが潜水艦です。「知られていない」が「最強」であるという自負を持っているのが潜水艦乗りです。「潜水艦は人が少ない。だから教育が大事」と語ってくれました。潜水艦は水上艦と違い単艦で動きます。

 また上級司令部との連絡も頻繁に取ることはできません。それだけに乗組員全体の能力が艦の能力に直結します。米国派遣訓練などは3か月に及ぶこともあり、閉鎖環境の中でのメンタルケアにも配慮しているといいます。

 幹部と曹士の橋渡し役となる先任伍長の古屋曹長は、「上位下達と下位上達の両立させる」と話します。艦全体のチームワークがあって能力を発揮できます。

 一方、潜水艦乗りを支える現実的なモチベーションがあります。それが「給与」です。潜水艦乗組員の給与は各種手当が付いて自衛隊の中でも最も高給な職種の一つとされ、条件によっては航空自衛隊の戦闘機パイロットを上回ることもあります。

 最近の自衛官の処遇改善施策は、現場にも良い影響を及ぼしつつあるといいます。人知れず最前線に立つ誇りとロマン、そして高給という実利で潜水艦生活は成り立っています。

【トッピングあり】これが防衛機密「とうりゅう」のカツカレーです(写真)

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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