高層ビル並みの巨大貨物船、これでも「ハンディサイズ」って!? 想像を絶する「ばら積み船」の世界 デカけりゃいいでは決してないワケ
常石造船で新型のバルカー(ばら積み船)「PAIWAN DIAMOND」が進水しました。全長180mの巨大な船ですが、それでもバルカーの世界では「ハンディサイズ」に分類されます。バルカーの「サイズ感」って、どうなっているのでしょうか。
「パナマ」「ケープ」 地名で表す船のサイズ
まず一番汎用性が高いのが今回の「PAIWAN DIAMOND」も該当する「ハンディサイズ」です。世界のほとんどの港に入港できることが特長で、甲板上にクレーンを装備することで、港湾設備が整っていない港でも荷役ができるようになっています。
ハンディサイズバルカーの中でも大小があり、3万8000重量トンあたりまでの船型を「スモールハンディ」、それ以上の船型を「ハンディマックス」、さらに5万重量トンから6万重量トンは「スープラマックス」とも呼びます。いずれも全長は200m未満で、取り回しやすいコンパクトな船型です。
その上の大きさとなるのが「パナマックス」(約8万2000重量トン)です。パナマ運河の通航可能サイズに準拠した船型となっており、長らく世界標準として機能し、大西洋と太平洋を結ぶ穀物・石炭輸送などを担ってきました。さらに新パナマ運河を通航できる「ポスト・パナマックス」(約10万重量トン)が登場しています。
それより大きく、鉄鉱石や石炭を大量に運ぶ「ケープサイズ」(約18万重量トン)は、パナマ運河やスエズ運河を通れません。南アフリカの喜望峰や南米のホーン岬を回る必要があることから、「ケープ」と付けられています。
常石造船の十八番「カムサマックス」とは?
そして、常石造船が開発し、現在では事実上の世界標準となったのが「カムサマックス(Kamsarmax)」です。同社では大型化した8万8500重量トン型の「ワイド・カムサマックス」と、8万2400重量トン型の「カムサマックス」をメニューに揃えています。
「カムサマックス」は、パナマックスの全幅制限を維持しつつ、西アフリカ・ギニアの主要ボーキサイト積出港である「カムサ港」に入港可能な最大全長(229m)まで船体を延長しました。従来のパナマックスに比べて積載量を大幅に増加させたことで、輸送効率を劇的に改善。燃費、汎用性、積載性能の最適解が支持され、常石グループで400隻を超える竣工実績を持つ大ヒット商品です。
なお、現時点で世界最大級とされるカテゴリーが、40万トン重量トン型の「ヴァーレマックス」に代表されるVLOC(超大型鉱石専用船)です。船型の名前はブラジルの資源大手ヴァーレ社に由来し、鉄鉱石輸送の長期輸送契約に投入されています。





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