ミサイルも魚雷も無し!? 初の新ジャンル自衛艦「OPV」とは? “武装貧弱”でも日本に必須なワケ

防衛省の新艦種「哨戒艦」が横浜市のJMU磯子工場で2025年11月13日、2隻同時に進水しました。艦名は「さくら」と「たちばな」。哨戒艦とは、どういうコンセプトを求めた船なのでしょうか。

哨戒艦が搭載する航空機とは

 哨戒艦の全長は95m、最大幅12m。基準排水量は1900トンで、機関はディーゼル電気・ディーゼル複合推進方式(CODLAD形式)を採用し、ディーゼル主機と推進電動装置をそれぞれ2基ずつ搭載しました。速力は約25ノット(約46.3km/h)以上を発揮できるようになっています。

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2025年11月13日、JMU横浜事業所磯子工場で進水した哨戒艦「たちばな」(深水千翔撮影)。

 ただ、警戒監視という用途に限定することから、固定の武装は30mm機関砲1基のみ。このほかに後日装備として小型UAV(無人航空機)や電磁波情報収集器材を搭載することを予定しています。UAVやヘリコプターの発着艦に対応した多目的甲板が艦尾側に配置されているほか、艦尾揚収装置や多目的格納庫、多目的クレーンも備えます。また、7.5mの複合型作業艇を2隻搭載します。

「多目的甲板では海上自衛隊が運用するSH-60K/LやMCH-101の発着艦は可能だが、ヘリコプターのローターをたたみ、格納庫に入れて行動することはできない。格納庫ではUAVの整備などを行うが、『多目的』と書いてあるとおり、それ以外の使い道もあるかと思う」(海幕広報室)

 哨戒艦に搭載される小型UAVは米シールドAI (Shield AI)が開発した垂直離着陸(VTOL)型の無人航空機システム(UAS)「V-BAT」です。同機はわずか4.6m×4.6mという狭いエリアからでも発着可能という特徴を持ち、格納時はピックアップトラックやUH-60の荷台に収まってしまうほど、コンパクトになります。こうした設計によって、2人チームで30分以内に展開することが可能。EO/IR(電子光学・赤外線)ペイロード搭載時の最大飛行時間は12時間で、最大航続距離180kmとなっています。

「V-BAT」は2025年度の防衛省予算で、水上艦艇の警戒監視・情報収集能力を向上させる「艦載型UAV(小型)」として、6機を取得する費用40億円が盛り込まれました。今年6月には、同機の操縦教育を受けるため海自隊員が渡米しています。

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