軍用車はなぜ「ディーゼル」が主流なの? 乗用車では下火なのに「ディーゼルじゃなきゃダメ」その理由とは?

乗用車のマーケットでは昨今、軽油を燃料とするディーゼルエンジン車が減少し、EVやハイブリッド車が主流となっています。一方、戦車をはじめ軍用車両の世界はいまだに“ディーゼルの天下”。なぜなのでしょうか。

軍用車両はいまだに「ディーゼルの天下」 なぜ?

 乗用車のマーケットでは昨今、軽油を燃料とするディーゼルエンジン車が減少しています。2010年代前半ごろは“次世代のエコカー”として注目されていたディーゼル車ですが、ブームは下火となり、代わってEVやハイブリッド車が主流となっています。

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第二次大戦中のディーゼルエンジン搭載戦車T-34(画像:ロシア国防省)。

 ところが乗用車とは違い、今も「ディーゼルエンジン車でなければダメだ」とされているカテゴリーがあります。それは軍用車両の世界で、2025年現在でも戦車や装甲車はもちろん、トラックをはじめとした非装甲の車両もディーゼルエンジンモデルが中心です。それどころか、式典などで使われる車両を除けば、今やガソリンエンジンの軍用車はほとんど存在しません。

 実は、今から80年ほど前には、軍用車両でもガソリンエンジンの方が主流でした。戦車などはその最たるもので、例えば第二次世界大戦の主要参戦国で、ディーゼルエンジンの戦車を主力としていたのは、ソ連(現ロシア)と日本くらいだったのです。

 その理由は、主に性能面と運用面の2つです。まず、当時のディーゼルエンジンは技術的に未熟な部分が多く、小型軽量で高出力なパワーユニットを検討した場合は、ガソリンエンジンを選ぶほうが確実でした。

 また、当時は軍用車両だけでなく、戦闘機もガソリンを燃料に用いるレシプロエンジン機が多数を占めていました。そのため、運用時に車両と航空機で燃料を共用することが可能だったうえに、航空機用エンジンの設計を車両用エンジンに転用することもできたのです。

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