新戦闘機の共同開発が“空中分解”寸前か 仏「単独でやれる」 独「年内に合意なければ離脱」 いちばん困る国はどこだ?
ドイツがフランス、スペインと共同開発中の次期戦闘機「FCAS」から離脱する可能性が報じられました。開発の主導権争いが原因とされますが、もし計画が空中分解した場合、ドイツにはどのような選択肢があるのでしょうか。
まさに暗礁に乗り上げた「FCAS」計画
ドイツが「FCAS」(将来戦闘航空システム、仏語の略称はSCAF)の共同開発計画から離脱する可能性があると報じられています。2025年末までに“合意”が成立しない限り、という条件です。アメリカのニュースメディア「ポリティコ」が2025年9月に伝えています。
FCASはフランス航空宇宙軍が運用しているダッソー「ラファール」戦闘機と、ドイツ空軍およびスペイン航空宇宙軍が運用しているユーロファイターを後継する有人戦闘機、加えて有人航空機を支援する各種UAS(無人航空機システム)を共同開発するプログラムです。
もともと21世紀初頭にドイツ、フランス、スペイン、イギリス、スウェーデン、イタリアの6か国が、戦闘機とUASを組み合わせた戦闘航空システムの共同開発を構想していましたが、イギリス、イタリア、スウェーデンは意見の相違からこの構想から離脱しました。イギリスとイタリアはイギリス主導の「テンペスト」の開発計画を経て、日本を交えて新戦闘機を共同開発する「GCAP」計画へと舵を切り、スウェーデンは独自に新しい航空戦闘システムを開発する道を選びました。
残されたドイツとフランス、スペインは2019年に3か国共同でFCASの共同開発で合意しました。その後、共同開発プログラムは第1段階(フェーズ1)に進んだのですが、2025年中に予定されていた第2段階(フェーズ2)に移行する参加国の署名は、11月に至っても実現していません。
署名が実現していない最大の要因は、ドイツのエアバスとフランスのダッソー・アビエーションの開発主導権争いにあります。
ダッソー・アビエーションのエリック・トラピエCEO(最高経営責任者)は2025年9月23日、「我々はすべてを自力でこなすことができる」「まだドイツとの妥協点は見いだせていないが、フランス(とダッソー・アビエーション)は一切妥協しない」旨を述べており、年内の署名は困難になりつつあります。
仮にFCASの共同開発計画が空中分解した場合、前出のポリティコはドイツの取り得る2つの選択肢を挙げています。その一つがイギリスとの協力です。





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