史上初の来日! カナダの最新「巨大哨戒艦」が来日した理由とは? 同志国としての存在感「すでに一仕事してきましたよ」

海上自衛隊横須賀基地に2025年11月中旬、カナダ海軍の最新鋭哨戒艦「マックス・バーネイズ」が寄港しました。海上自衛隊のさくら型哨戒艦と比べて圧倒的に大きな船ですが、どんな能力があり、何の目的で来日したのでしょうか。

活動広げるカナダ海軍の象徴に? 艦長が説明するAOPVの意義とは

 今回、「マックス・バーネイズ」は8月に母港であるカナダ南東部のエスカイモルト海軍基地を出港後、北極海や西太平洋、東シナ海での活動を経て横須賀に寄港しました。来日までの間に、海上自衛隊主催の日米共同演習である「ANNUALEX 25」や、日加間の二国間演習である「KAEDEX」に参加。さらに、東シナ海においては国連安全保障理事会決議に違反して行われている北朝鮮船舶の違法な瀬取り行為(船舶同士の貨物積み替え行為)を監視する「オペレーションNEON」を実施しています。

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取材陣の質問に答える「マックス・バーネイズ」艦長のナディア・シールズ中佐(稲葉義泰撮影)。

 こうした一連の活動について、「マックス・バーネイズ」の艦長であるナディア・シールズ中佐は、まさに同艦の活動範囲の広さを示すものであると説明します。

「このAOPVは、カナダ海軍にとって極地で活動可能な最新鋭の艦艇となります。本艦は、今年の夏に北緯81度(北緯90度が北極点)の海域まで進出し、また姉妹艦である本級2番艦の『マーガレット・ブルック』は南極海での航行を行いました。私はこのAOPVに関するジョークとして、頭についているAとは今や北極海域を指すArcticのみならず、アメリカ(America)、アフリカ(Africa)、南極海域(Antarctic)、そしてアジア(Asia)をも含むものだと、よく言っています」

 近年、カナダ海軍は自国周辺の海域のみならず、インド太平洋地域を含む幅広い海域でグローバルに活動を行っています。これは、カナダがルールに基づく国際秩序や、自由で開かれた海洋の重要性を深く認識しているからで、それに対する挑戦には毅然とした態度で挑むということを明確に示すため、実活動を行っているのです。

 ここ数年、カナダ軍が日本周辺での活動や自衛隊との共同演習などを増加させているのも、その表れになります。

 今回の「マックス・バーネイズ」の西太平洋における活動もその一環であり、海上自衛隊横須賀基地に寄港したというのは、まさしくカナダ政府ならびにカナダ海軍の考え方を体現したものと言えるでしょう。

【これが最新カナダ軍艦です!】極地哨戒艦「マックス・バーネイズ」の艦内を写真で(画像)

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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