史上初の来日! カナダの最新「巨大哨戒艦」が来日した理由とは? 同志国としての存在感「すでに一仕事してきましたよ」

海上自衛隊横須賀基地に2025年11月中旬、カナダ海軍の最新鋭哨戒艦「マックス・バーネイズ」が寄港しました。海上自衛隊のさくら型哨戒艦と比べて圧倒的に大きな船ですが、どんな能力があり、何の目的で来日したのでしょうか。

見慣れぬフネが横須賀に寄港

 2025年11月17日、神奈川県にある海上自衛隊横須賀基地に、見慣れない外観の艦艇が入港してきました。カナダ海軍の哨戒艦「マックス・バーネイズ」です。

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横須賀基地に入港してくるカナダ海軍の哨戒艦「マックス・バーネイズ」(稲葉義泰撮影)。

「マックス・バーネイズ」は、2021年に1番艦が就役したハリー・デウォルフ級の3番艦で、2024年4月3日に就役したばかりの新鋭艦です。全長103.6m、全幅19m、喫水約7m、満載排水量6660トン、機関にはディーゼル・エレクトリック方式を採用し、最大速力は17ノット(約31.5km/h)です。

 哨戒艦とはいっても、海上自衛隊のさくら型(全長95m、基準排水量1900トン)やイギリス海軍のリバー級(全長90.5m、満載排水量2000トン)といった他国の一般的な哨戒艦と比較すると、この「マックス・バーネイズ」の大きさが際立ちます。

 それというのも、同艦は単なる哨戒艦ではなく「極地哨戒艦(Arctic and Offshore Patrol Vessel:AOPV)」であり、その名のとおり氷に囲まれた北極海域での活動を念頭に置いて建造されているからです。

 北米大陸に位置するカナダは、太平洋、大西洋、そして北極海という3つの海に面しています。なかでも、北極海は近年の地球温暖化に伴い注目を集めるようになった北極海航路をふくめ、その利活用に注目が集まっています。そのため、そうした海域での警戒監視やプレゼンス(存在感)発揮のために建造されたのが、このハリー・デウォルフ級というわけです。

 こうした役割を担っているため、同級は氷海においても3ノット(約5.6km/h)で継続的に航行することが可能であるほか、もし氷に囲まれてしまった場合でも、船体の左右に配置されたタンクに海水を注排水することで船体を揺らし、氷を砕いて脱出を図ることができます。

 とうぜん構造も極地運用を前提とした造りで、船体は氷海での航行を行うために強化されているほか、前部に閉鎖式フォアデッキを設けて機関区画と作業区画を極寒・荒天から保護するよう設計されています。

 艦尾には20t級と3t級、2種のクレーンを装備するほか、車両や小型舟艇を搭載するための多用途区画を備え、そこにはATV(全地形対応車両)、スノーモービル、雪上車、4WDトラックを収容することが可能です。また、複合艇や汎用舟艇なども運用できるようになっているほか、補給コンテナ、海洋調査キット、災害支援資材の積載にも対応しています。

 艦載機としては、CH-148「サイクロン」 ヘリコプターを収容できる格納庫を備えるほか、艦載型の無人航空機(UAV)を運用することも可能です。一方で、武装はBAE システムズ社製25mm 機関砲を 1門、そして12.7mm 機関銃を2丁装備しているのみで、こちらは哨戒艦としては標準的なレベルといえるでしょう。

【これが最新カナダ軍艦です!】極地哨戒艦「マックス・バーネイズ」の艦内を写真で(画像)

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