「うちの戦闘ヘリいりません?」豪がウクライナに“まだ新しめな”戦闘ヘリ供与を検討 “全機退役”は早すぎない?
オーストラリア陸軍の主力戦闘ヘリコプターとして運用されてきたタイガーARH。しかし、オーストラリア陸軍では運用開始から20年ほどでその後継機導入へと踏み切りました。ここに至るまでには、一体どのような経緯があったのでしょうか。
豪はなぜ手放す? 戦闘ヘリ「タイガー」
2025年12月3日、オーストラリアの公共メディアABCは、オーストラリア政府が、同国陸軍からの退役を予定しているタイガーARH戦闘ヘリコプターのウクライナへの供与を検討していると報じました。
タイガー(ティーガー)は、1980年代から90年代にかけてフランスとドイツ(計画開始当時は西ドイツ)が共同開発した戦闘ヘリコプターです。ちなみに、エアバス・ヘリコプターズの前身である「ユーロコプター」は、タイガーの共同開発をきっかけに誕生しています。
陸上自衛隊の運用しているAH-64Dなどと同様、敵に発見されにくい細長い形状の胴体に2名が縦列で搭乗するヘリコプターですが、AH-64などと異なり、コックピットの前席に操縦士、後席に射撃手が搭乗する配置となっているのがタイガーの特徴です。
このタイガーは、一つの基本設計から対戦車戦闘型の「HAD」、空対空戦闘/近接航空支援型の「HAP」、多用途攻撃型の「UHT」、オーストラリア陸軍が導入した「ARH」という4タイプの派生型が開発されています。タイガーARHは、HAPをベースにエンジンを強化し、オーストラリア陸軍の要求に合わせて、AH-64Dなどと同じアメリカ製の「ヘルファイア」対戦車ミサイルの運用能力などが追加されています。
オーストラリア陸軍は2004(平成16)年から22機を導入して、2025年12月現在も運用を続けています。しかし、オーストラリア陸軍は後継機としてAH-64E「ガーディアン」戦闘ヘリコプターの導入を開始しており、タイガーARHは2020年代の全機退役が予定されています。陸上自衛隊にAH-64Dの初号機が納入されたのは2006(平成18)年のことですから、AH-64Dと大して変わらない運用期間であるにもかかわらず、タイガーARHは退役を開始することとなります。
運用開始からわずか20年強でタイガーARHの更新を決めた理由として、オーストラリア軍は、同機と指揮統制支援システムとの統合が上手くいかなかったことや、維持費の高騰を挙げています。
タイガーARHは、オーストラリア陸軍が過去に運用していたヘリコプターに比べて複雑で、オーストラリア陸軍は維持整備に苦しんだと言われています。幸いにして墜落事故などはなかったものの、安全確保のため二度にわたって飛行停止措置を受けており、オーストラリア陸軍が求めていた70%台の稼働率は達成されていません。





コメント