レンタカーが「車検切れ・無保険」貸し出すこと232回!? 国交省「非常に悪質」 利用者に責任ナシとは言い切れない不安

中古車販売と兼業でレンタカー事業を行っていた会社が、国交省から事業許可を取り消されました。車検切れの車両を1年間で232回も貸し渡していたことが明らかになっています。利用者に対策法はあるのでしょうか。

え、それでも再開するの…?

 今回の国交省長崎運輸支局の行政処分は、店長個人ではなく、レンタカー事業会社であるエーシーエスに対して行われた取り消しです。同社は自社サイトに「お客さまならびに関係者各位」と題した謝罪を掲載しています。

「長崎県時津町にて当社が運営しておりましたレンタカー事業につきましては、2013年4月25日の許可取得以降、行政処分や警告を受けた事実は一切ございませんでしたが、今回の事案を厳粛に受け止め、信頼回復および再発防止体制の再整備を目的として、当面の間、営業を見合わせております」

 当時、同社はガッツレンタカーとフランチャイズ契約を結んで熊本市で営業を行う一方で、本拠地である長崎県時津町でも営業をしていました。当面の営業を見合わせるという内容のあとには、「本件につきまして、当社は所管官庁よりレンタカー事業の許可取消処分を受けております」と明記しますが、さらに「当社といたしましては、当該処分を厳粛に受け止め、これを自らの重大な課題として深く認識し、再発防止および管理体制の抜本的な改善に全力で取り組むとともに、法令遵守を最優先とした事業運営の徹底に努めてまいります」と、自社でのレンタカー事業の継続を思わせる記載をしています。

 これに対して国交省物流・自動車局は「レンタカー事業の許可取消は事業者に対して行われている。処分後2年間はレンタカー事業の申請はできない」と、処分の内容を説明します。

「安心して借りられるように」の決め手無し

 レンタカーの利用者は、万が一の事故に備えて事業者から複数の書類にサインを求められて、賠償責任を負います。利用者が車検切れに気が付かずに事故を起こした場合には、レンタカー事業者と共に、被害者救済の責任を問われる可能性があります。

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レンタカー貸出の際は複数の書類にサインすることがある(画像:PIXTA)

 というのも、道路運送車両法では運転者が車検証を確認する義務があり、フロントガラスに貼ってある検査標章(車検ステッカー)で有効期限がわかるからです。

 国交省物流・自動車局でレンタカー事業を担当するモビリティサービス推進課は次のように話します。

「今回のケースは非常に悪質である。こうしたケースを防ぐために、安心してレンタカーを借りられるようにすることを考える」

 しかし、訪日旅行者が増える中で、新規参入事業者が急激に増えるレンタカー事業に対して、車検切れ車両の貸し出し防止には決め手を欠いた状態のままです。レンタカー事業を兼業として行う事業者で、販売とレンタカー車両の線引きがあいまいなケースもあります。

レンタカー事業の責任は誰が追うのか。現場に一任している体制があった場合、事業者にどのような改善を促すことができるのか。利用者目線では、何も対策が示されていません。

【え…!】これが「車検切れレンタカー」フランチャイズの対応と貸出店の“釈明”です(画像)

Writer:

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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