甲板に巨大な「柱」が!? 横浜大さん橋に現れた「異形の船」の正体 運ぶのは“世界の邪魔者!?”
2025年末、ふだんはクルーズ船が停泊する横浜の大さん橋に、珍しい船が現れました。甲板に巨大な「柱」のような構造物が立ち、「動くプラント」のような異様な雰囲気を放っていた船は、世界初のプロジェクトに投入されるものです。
日本に先駆けて事業化した「CO2運搬船」
ノルウェー政府は、工場や発電所などから排出されたCO2を回収・輸送・貯留する国際的なCCSバリューチェーンの構築を目指す「ロングシッププロジェクト」を推進しています。前出の通り「NORTHERN PHOENIX」を含むLCO2船は、その中の輸送・貯留部分に当たる「ノーザンライツプロジェクト」に投入するため建造されました。
欧州の各地から回収されたCO2をLCO2船に積載し、ベルゲン近郊のオイガーデンに建設されたノーザンライツの受け入れ基地まで輸送。パイプラインを使用して海底下2600mの地層に圧入します。現在の受け入れ能力は年間150万トンで、2025年夏に商業運転を始めました。2026年にはノルウェーに加えてオランダやデンマークからのCO2も受け入れを始める予定で、「NORTHERN PHOENIX」はこれらのLCO2輸送を行うことになります。
ノルウェー政府とノーザンライツはCO2の輸送・貯蔵能力を年間500万トンに増強することを決め、オイガーデンの受け入れ基地に貯蔵タンクやポンプ、圧入井、新桟橋を増設することを計画しています。LCO2船の追加発注も検討されており、すでに大連船舶海洋工程はノルウェー船級協会(DNV)から1万2000立方メートル型と2万立方メートル型のAiP(基本設計承認)を得ています。
日本も2030年までにCCS事業を開始することを目指しており、三菱造船や今治造船とジャパンマリンユナイテッド(JMU)の共同営業設計会社NSY(日本シップヤード)に加え、日本郵船、商船三井、川崎汽船などが海運・造船一体となって国際大規模液化CO2海上輸送の実現に向けたLCO2船の新規開発と標準仕様・標準船型確立に向けた共同検討を始めました。
低圧標準LCO2船に関しては、さらに三菱商事と三井物産が加わり、2万3000立方メートル型と5万立方メートル型の2船型で日本船級協会(NK)とアメリカ船級協会(ABS)からAiPを取得しています。
また、三菱重工と今治造船は2024年12月にLNG船の設計・販売を手掛けていた「MI LNGカンパニー」の社名を「MILES」へ変更。LCO2船の開発・設計業務に着手しています。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。





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