あれ、荷台がない… たまに見かける「頭だけトラック」なぜ走ってる? 「そもそも“トラック”じゃないです」

トラックは「運転席があり、その後部に巨大な荷室スペースがある」という姿が一般的なイメージです。しかし、荷室スペースを外して「頭(運転席部分)だけ」で走っているトラックを街中でときどき見かけることがあります。

なぜ「頭だけ」で走るの?

 では、なぜトレーラー車は荷室に別れを告げ、トラクター部分のみで走っていることがあるのでしょうか。島崎准教授は、「さまざまな事情があるはずなので一概には言い切れませんが、主に想像できるのは以下の2つです」と解説します。

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実は驚異的に“速い”クルマでもある!?(画像:PIXTA)

 第一の理由は「整備・修理のため」ではないかとのこと。「トラクターとトレーラーは別々のクルマなので、トラクターだけ車検や整備を行うために修理工場まで走るということはあるでしょう」(島崎准教授)

 そして第二の理由に「運用上の戦略的な切り離し」を挙げます。「積み降ろしの最中はエンジンや運転席は不要です。荷室のトレーラー部分だけあれば良いため、積み降ろしの作業中はトラクターのみ他の荷物を取りに行って運ぶなど、効率的な運用をすることがあります」とのことですが、島崎准教授は「こうした運用は日本では限定的」であるとも説明します。

「欧米では『ドライバーは運転に専念し、積み降ろしは別の作業員が行う』という分業文化があります。そのため積み下ろし中にドライバーが待機して、車両を遊ばせておくのはもったいないという理由から、トラクターを切り離して他の作業に向かう運用が積極的に行われています。一方、日本では伝統的にドライバーが積み降ろしも担当することが多いので、こういった運用戦略は欧米ほど一般的ではないのです」(島崎准教授)

実はメチャクチャ速いんです!

 ここまでの解説で「頭だけトラック」の謎が解けましたが、さらに筆者が気になったのが、トラクター部分とトレーラー部分の分離についてです。あれだけ大型のクルマかつ、相当な重量の荷物を運ぶトレーラー車の分離・連結は、相当な手間がかかるのではないのでしょうか。島崎准教授はこのように解説しました。

「トラクター部分とトレーラー部分の着脱は、例えば電車の連結などよりも相当に面倒でしょう。位置や高さを合わせて連結しなければならないほか、物理的な接続だけでなく、ブレーキのホースや灯火類のケーブルなど、保安部品も接続する必要があります。

 当然これらの作業に伴い、ブレーキや灯火類が正しく動作するか点検も必要なので、慣れたドライバーが慣れた場所でやったとしても、最低5〜10分程度の作業時間は必要かと思います」(島崎准教授)

 ちなみに、島崎准教授は意外な話も教えてくれました。「余談ですが、『頭だけトラック』は、重さ数十トンのトレーラーを引っ張っているトラクターが、荷物から解放された状態なわけですから、本気でアクセルを踏み込めば、スポーツカー顔負けの物凄い加速力を発揮します」とのことでした。

 なお、島崎准教授は2025年10⽉より、運転⼼理と安全リスクなどについて解説するポッドキャスト番組『プロフェッショナルドライブ』を配信しています。元トラックドライバーで交通⼼理⼠、さらに現役の⼤学准教授というマルチな⽴場から、運転にまつわる多彩なトピックを展開していますので、ぜひご視聴ください。

https://prodora.jp/

【頭だけでも2タイプある!?】これが「頭だけトラック」の正体です(写真で見る)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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