日の丸フリゲートが選ばれた裏で…豪州の哨戒艦計画がボロボロな件 仕様変更にメーカー撤退 日本は「乗り越える覚悟」あるか
日本が設計した新型FFMが選定され、一躍注目を集めている日豪の防衛協力。しかしその裏で、豪海軍の哨戒艦計画は迷走を極めています。アルミ船体の亀裂、工期の遅れ、そしてメーカーの撤退まで。日本が学ぶべき教訓とは何なのでしょうか。
哨戒艦調達のゴタゴタを「他山の石」と捉えよ
エボルブ・ケープ級はオーストラリアが独自設計したもので、全長は57.8m、満載排水量は約580トン。アルミニウム合金製で速力は25ノット(46.3km/h)以上となっています。武装は12.7mm重機関銃2丁で、7.3m高速複合艇(RHIB)2隻を搭載できます。
乗員数は最大32人まで収容可能です。これにより、通常の乗員に加え、訓練生や臨検チーム、あるいは便乗者を乗せる余裕が生まれています。併せて長期間の洋上任務における乗員の疲労を軽減するため、空調システムや艦内Wi-Fi、エンターテインメント設備などの「QOL(生活の質)」向上が図られたのも特徴です。
海軍向けのエボルブ・ケープ級は当初、つなぎの予定でしたが、ニーズの高まりとアラフラ級の調達削減を受け、現時点で10隻の導入が決まっています。なお、豪州海軍はケープ級哨戒艇も2隻、オーストラリア国立銀行(NAB)からリースして運用しています。
さて、アラフラ級の調達削減の背景には日本の護衛艦輸出にも関わってくる、中国の海洋進出によるインド太平洋地域の急速な緊張高まりがあげられます。
事実、オーストラリア政府は2024年2月、「水上艦艇レビュー(Surface Fleet Review)」において、中国の台頭など安全保障環境が厳しさを増す中で、アラフラ級の能力が不足しているという指摘をしています。
実際、同じ「OPV80」をベースとするブルネイ海軍のダルサラーム級哨戒艦が57mm単装速射砲とエグゾゼ艦対艦ミサイルのランチャーを積んでいるのと比べると、アラフラ級が軽武装であることは否定できません。とはいえ、そもそもアラフラ級が携わるのは国境警備と漁業哨戒であり、こうしたコンセプトのズレが調達を巡る混乱につながっているともいえるでしょう。
今後、日本はオーストラリア海軍の次期汎用フリゲートのプロジェクトで同国と深く関わっていくことになりますが、突然の仕様変更や調達数減少といったトラブルに直面する可能性は十分にあります。
アーミデール級哨戒艇とアラフラ級哨戒艦を巡るゴタゴタを鑑みると、日豪両国の思惑にズレが生じることを認識しつつ、摩擦を最小限に抑えることが艦艇の輸出を成功に導くことになると筆者(深水千翔:海事ライター)は捉えています。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。





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