アメリカ「戦艦復活させます!」→そもそも“戦艦”ってどんなフネ? かつては「力の象徴」も廃れていった理由とは

2025年12月、アメリカのトランプ大統領は圧倒的な火力と排水量を誇るトランプ級戦艦の建造を発表しました。新規建造としては1944(昭和19)年のアイオワ級戦艦以来の「戦艦」です。ところで、そもそもこの「戦艦」とはどのような艦種なのでしょうか。

戦艦「続々建造」時代に終止符 そこで生まれた名戦艦たち

 歯止めがかかったのは、1923(大正12)年にワシントン海軍軍縮条約が締結されてからです。基準排水量3万5000トンまで、主砲口径が20.3cm砲以上、40.6cm砲以下の軍艦が「戦艦」という定義でした。第一次世界大戦で疲弊した各国にとって、戦艦の建造は大きな負担でした。新型の戦艦と巡洋戦艦計16隻を整備する「八八艦隊計画」を進めていた日本では、国家予算の半分が海軍費になったほどです。

 ワシントン海軍軍縮条約と、ロンドン海軍軍縮条約により、各国は戦艦建造が禁止されたため、既存艦の改装などで対応しました。1936(昭和11)年に、戦艦建造が解禁されたことで、各国は新世代の戦艦を建造し始めます。イギリスのキング・ジョージ5世級、アメリカのノースカロライナ級、フランスのリシュリュー級、日本の大和型、イタリアのヴィットリオ・ヴェネト級、ドイツのビスマルク級などです。

 これらは基準排水量3万5000トン程度の艦型でしたが、日本は軍縮条約を脱退前提で、大和型を設計していたため、基準排水量6万4000トン、46cm主砲9門と他国を圧倒する艦型で、史上最大最強の戦艦となりました。

 なお、日本が大和型の性能を秘匿したために、条約の「エスカレーター条項」が適用され、アメリカが4万5000トンの高速戦艦として建造したのがアイオワ級です。新規設計艦としては最後の戦艦であり、長砲身の40.6cm主砲9門、33ノット(61.1km/h)の高速など、優れた性能を有していました。

 その後、フランス海軍が第二次世界大戦で完成できなかった、リシュリュー級戦艦「ジャン・バール」を1955(昭和30)年に就役させ、最後の戦艦となります。 しかし、戦艦自体が主砲の届く30~40kmの範囲しか攻撃力がないのに、建造・維持費が高いことから、1960~70年代までに全て退役してしまいます。

 アメリカのアイオワ級戦艦のみが、ベトナム戦争に参加。1982(昭和57)年にミサイル搭載可能に改装され、湾岸戦争でも活躍。1992(平成4)年までに予備役となりました。トランプ大統領は、アイオワ級戦艦の復活を主張したこともある人物ですが、終わっていたはずの戦艦の歴史が、続くことになります。

 トランプ級戦艦は2030年代に就役する予定です。いつの時代も、戦艦は「最も卓越した攻撃力と防御力とを有する大型艦」であり、トランプ級は正しく現代の戦艦といえるでしょう。

【デカくて強い!】アメリカ海軍が公開したトランプ級戦艦を見る(画像)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

1件のコメント

  1. まさか戦艦に大口径の大砲を搭載するわけでも無かろうに、原子力エンジンにして超大型のレーザー砲でも考えているのだろうか。