「爆速だけど“ものすごく高い”船」ジェットフォイルついに新造 まさかの新型エンジン! 背景に“自衛隊”が関係!?
川崎重工業が8年ぶりにジェットフォイルを新造します。九州郵船向けで、従来の課題であったエンジンを新型に刷新し、2029年6月の引き渡しを予定しています。価格面の課題を突破した背景には何があったのでしょうか。
船価が高すぎて…
一方でネックとなっているのが高額な船価と維持費、そしてエンジンです。
川重は1989年から1995年までに15隻のジェットフォイルを建造しましたが、その後「セブンアイランド結」の建造まで25年間の期間が開いています。ジェットフォイルは40年程度使用できるとされているものの、電気系統の劣化や各種部品の老朽化に伴う交換などで、高額な修繕費用がかかっています。他の船と比べて燃料消費量も多く、こうした負担が船社の経営を圧迫しています。
船価に関しても「セブンアイランド結」では51億円だったものが、九州郵船の新造船では80億円超まで上昇したとされています。
ガスタービンエンジンについても、「アリソン501-KF」がロールスロイスでの製造を終えており、新たに生産体制を構築するには複数ロットでの同時発注を行う必要がありました。このため、セブンアイランド結はエンジンの新造はかなわず、既存船から流用しています。さらに船体の長さや主機関のサイズ変更などもできないため、航路の需要に応じて柔軟な対応もできません。
まさかの新型エンジン搭載の裏側
しかし、川重が建造する九州郵船のジェットフォイルでは新型ガスタービンが搭載されることになりました。米ベリコアパワーシステムズ(VERICOR)の「TF-50B」を2基搭載します。
ベリコアのTFシリーズは、スウェーデン海軍のヴィスビュー級コルベットやメガヨットなどに採用されているほか、LCACの名前で知られる海上自衛隊のエアクッション艇1号でも使用されています。
また、「TF-50B」は英グリフォン・マリン(旧グリフォン・ホバーワーク)が開発している輸送用ホバークラフト「ワイバーン」に搭載されることになっています。同社では海自にLCACの後継として「ワイバーンJ」を提案しており、安定的なエンジンと部品の供給が見込める可能性があります。
「継続的な運用を考えると、30年以上前の部品は入手しにくい。今後のエンジン・メンテナンスの調達性、持続性を考えると新しいエンジンが最適だ」(関係者)
80億円超という新造船価は、JRTTの船舶共有建造制度を活用。九州郵船が半分を負担し、残りは国と就航地の長崎県と壱岐市、対馬市が補助する形になりました。
川重は今後も、国内の離島航路をはじめとする高速海上交通の維持・発展のため、ジェットフォイルの建造に積極的に取り組んでいくとしています。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。





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