廃止される「高速道路を走る路線バス」に乗ってみた 知る人ぞ知る新幹線アクセス手段 だが鉄道に負けた?

東急バスが、「溝の口駅~新横浜駅直行バス」の運行を終了すると発表しました。第三京浜を走るためシートベルト付きの座席が備わる珍しい路線バスです。現状を確かめるため、実際に乗車してみました。

実際に乗ってみると

 今回乗車したのは2026年1月の平日、新横浜駅15時50分発溝の口行きの便でした。新横浜駅の乗り場は9番で、バスは出発の数分前からバス停に待機していました。

 新横浜駅からは7人の乗客を乗せて発車しました。途中のバス停からの乗車はありません。新横浜の高層ビル群を抜けると日産スタジアムがあり、車窓の進行左側には横浜線の小机駅が遠目に見えます。

 さらに小机大橋で鶴見川を渡ると第三京浜の港北ICで、ここから高速道路を走ります。料金所の手前でシートベルト着用を促す放送があり、飛行機のシートベルト着脱の際に用いられるチャイムと同じ音を聴くことができました。

 第三京浜では、他の車両よりも速度を落として運行されています。片側3車線のうち左側の車線を走り、他の自動車が次々と追い抜いていきます。

 途中の都筑ICを通過し、南武線の線路と交差すると京浜川崎ICです。ここからは一般道に降ります。先ほど通過した南武線の線路脇に戻る形で交差点を転回、南武線脇の南武沿線道路を走ります。途中の停留所で2人が下車し、終点の溝の口駅まで下車した利用者は5人でした。

 溝の口駅では東口(JR南武線の武蔵溝ノ口駅では北口)のバス乗り場にある1番のバス停に到着しました。折り返しの新横浜行きもここから発車します。終点溝の口駅までのクルマの流れはスムーズで、途中の信号待ちと途中のバス停の降車で停まった程度でした。

 溝の口駅と新横浜駅の間は、鉄道だと複数のルートがあります。2023年には東急新横浜線が開業したことで、両駅の間を東急線だけで移動することが可能になりました。両駅間の移動では東急線経由が最安のルートで、運賃は360円(IC運賃では358円)と、バスよりも安くなっています。所要時間は乗り換えの時間を入れても35分程度でバスと大差がなく、運行本数も日中の新横浜発着で毎時8本程あります。

 溝の口駅と新横浜駅の間は、東急大井町線・新横浜線経由でも最低1回の乗り換えが必要です。途中の自由が丘駅での乗り換えは階段の登り降りだけで、改札を出ることもなく、コンコースを長く歩く必要もありません。しかも、溝の口や新横浜は始発の列車があり、座れる機会が数多くあります。

 着席でき、乗り換えがないことが有利なバスの新横溝の口線ですが、乗り換えの面倒を差し引いても、鉄道の便利さが圧倒してしまったのかもしれません。新横溝の口線の運行終了により、第三京浜を走る路線バスがなくなる見込みで、この路線で使用されていたバスの処遇も注目されるところです。

【車内も珍】これが「高速道路仕様の路線バス」です(写真)

Writer:

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。

最新記事

コメント