1日10万人の大盛況→赤字の苦境へ 熊本市電を襲う“信頼の危機” 脱線・追突の連鎖は断ち切れるか「再生プロジェクト」の全貌

開業100周年を迎えた熊本市電がいま、大きな岐路に立たされています。観光客にも愛される路面電車ですが、近年は脱線や追突など重大トラブルが続発。信頼回復のため、宇都宮からプロを招く異例の再建策が動き出しました。

「負傷者15人」の衝撃 栃木県から「プロ」を登用し組織刷新へ

 事故は2025年になってからも止まらず、同年3月25日には停留場に停車していた電車に後続車が追突する事故が発生。乗客乗員15人が負傷しました。事故原因の調査などのため、当日は全線運休、翌日も区間運休になっています。九州運輸局もこれらインシデントを鑑み、2024年9月と2025年7月に相次いで改善指示を熊本市交通局に出しています。

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観光名所の熊本城と熊本市電(画像:写真AC)

 続発するトラブルに対して、熊本市交通局も対策に動いています。まず2025年1月には交通局内に安全対策チームが発足。運行中の市電に対し、抜き打ち検査などを実施しています。さらに、2025年11月には栃木県の宇都宮ライトレール(芳賀・宇都宮LRT)などで線路や車両の安全管理を行っていた福島孝一郎氏を登用するなど、改善を試みています。

 加えて2025年10月には「熊本市電再生プロジェクトに関する専門家会議」が開かれました。このプロジェクトは交通事業の立て直しに関する課題や対応方針等について審議を行っています。会議では個々のケースに限らず、組織風土などの面についても言及されるなど、抜本的な解決を図ろうと動いている模様です。

 このように問題の続く熊本市電ですが、筆者(鈴木伊玖馬:乗りもの好きライター)が2025年11月に熊本を訪れた際には、大きな魅力を感じました。

 まず運行している場所がとても良いと感じます。JR熊本駅へのアクセスも便利なうえ、熊本城や水前寺公園といった観光スポットにも最寄り駅があり、市内の移動で大変便利でした。

 また、今の日本では珍しい市電というのも魅力的なポイントです。車内から外を眺めると、バスとも乗用車とも異なる目線で街の景色が楽しめます。他の交通機関ではなかなか体感できないアングルだったので、とても新鮮でした。

 そういった魅力があるだけに、2026年は事態が好転するよう、熊本市電の改革に期待したいです。

【写真】熊本市電の「70年現役車両」に乗ってみた!

Writer:

愛知県生まれ。飛行機が好きで航空博物館などを取材するうち、自動車関係の記事や取材も手がけるようになる。ホンダ「シビック Type R」のようなホットハッチが好み。

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