海自の「目」を育む下総航空基地、2017年初訓練飛行 P-3C搭乗員はここから全国へ

担う任務はシステム運用の「根幹」

 P-3Cはすでに、新鋭哨戒機である川崎重工P-1への更新が始まっています。しかしそのペースは年に数機であり、この先も当分はP-3Cが主力としてあり続けることになります。下総教育航空群にP-1の配備はまだありませんが、広報担当者によると「飛行機自体がなくとも教育を行うことは可能」とのことで、すでに整備員についてはP-1に関する教育も始まっているそうです。

 P-1はターボファンエンジンが採用され、その機体はP-3Cよりもひと回り大きくなり、同時にセンサー類やシステムが一新され、P-3Cより高い能力が期待できます。とはいえ、どんなにシステムが高度化してもそれを運用するのは人間である以上、乗員を育成する下総教育航空群の重要度は計り知れないほど大きなものです。

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紅白のナショナルカラーに塗装されたP-1初号機。同機は2017年1月現在、テストベッド機「UP-1」として、P-1搭載機器の評価試験に用いられている(関 賢太郎撮影)。

 浅岡群司令はこのたび行われた「2017年初訓練飛行」の訓示において、さらに以下のように述べました。

「下総教育航空群に与えられた任務である海上航空の将来を担う固定翼航空機搭乗員の育成についてはもちろんのことであるが、国民の命と平和な暮らしを守るという、本来の根幹となる目的を忘れてはならない。下総教育航空群のひとりひとりが、健全な精神と強靭な肉体を持ち、状況に的確かつ柔軟に対処できるよう、プロフェッショナルを目指すための日々の“地道な努力”を継続してもらいたい」

 我々、一般国民が当たり前のように平和を享受している現在は、彼ら彼女らP-3C搭乗員、そしてほかの自衛隊員らの「地道な努力」という投資による、その配当によって実現されたものであるといえるのではないでしょうか。

【了】

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