3年8か月運休の赤字ローカル線を「ミニ新幹線」に!? 「もう一つの新幹線」より熱を帯びてきたワケ

国道のトンネル工事で約3年8か月も運休していた赤字ローカル線を“ミニ新幹線”に転換しようと、地元の自治体や経済界が自虐的なチラシまで作ってアピールしています。その背景には、いくつもの思惑が重なっているようです。

前知事は「羽越新幹線が優位」としたが

 羽越新幹線は富山市―青森市間の日本海沿いを新幹線で結ぶ構想で、1973年に全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画路線となりました。途中で新潟市付近と秋田市付近を経由すると明記されています。

 うち富山―上越妙高(新潟県上越市)間は北陸新幹線、長岡(新潟県長岡市)―新潟間は上越新幹線が既に開通しているため、事業化する場合には庄内地方などを通る486.1kmを新設します。

 2008年10月に当時の齋藤 弘山形県知事(前知事)は費用対効果(B/C)を調査した結果、羽越本線をミニ新幹線にするなどの方法で高速化した場合の方が、山形新幹線の庄内延伸より優位だと表明しました。山形県は羽越新幹線建設促進同盟会などを通じ、早期実現を要望してきました。

 ところが、基本計画の決定から半世紀余り過ぎても一歩も動いていないのが実情です。基本計画から整備計画への昇格はおろか、基本計画決定の次のステップとなる国土交通相による路線の調査指示にも進んでいないのです。

山形新幹線延伸に“福音”

 一方で羽越新幹線と比べて劣勢に立たされた山形新幹線の庄内延伸は「吉村知事が以前より聞く耳を持ってくれるようになった」(庄内地方の自治体関係者)ことが“福音”となっています。

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陸羽西線用のキハ110系(大塚圭一郎撮影)

 吉村知事は庄内地方のフリーペーパー「コミュニティしんぶん」の2025年5月14日のインタビューで「本県としては山形新幹線を新庄から庄内に延伸し、秋田県に行くという経路は、大いにあると思っている」と発言。2025年6月23日の県議会6月定例会予算特別委員会では「庄内から首都圏につながる鉄道ネットワークのさらなる機能強化が必要と考えている」とし、「地域でも議論を盛んにしていただきたい」と呼びかけました。

 知事が山形新幹線の庄内延伸の可能性に言及するようになった背景には、実現すれば米沢トンネル(仮称、約23km)構想の費用対効果が高まり、庄内からの後押しも受けられる一石二鳥の思惑があるとの見方が出ています。これは山形新幹線の板谷峠がある難所をトンネルで置き換える構想で、実現すれば福島―米沢(山形県米沢市)間の所要時間が10分短縮され、悪天候時の運休リスクも軽減すると見込まれています。

 JR東日本の深澤祐二会長も2026年1月、筆者に対して「山形県と今話しているのは、山越えの山形新幹線は自然災害もある中で米沢トンネルを掘り、時間も短縮して、かつ安全レベルも上げるためにどういうことをするのが良いのかという話です。われわれとしてはそこが一番、まずやるべきことだと思います」と必要性を強調していました。

【あれ?食い違う?】これが山形の「3つの新幹線延伸」構想です(地図/写真)

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