交通取締り“1点の虚偽記載”がアダに 神奈川県警「不正の大きな代償」 取締りの“原則”が崩壊
神奈川県警交通機動隊の小隊ぐるみで行われた交通違反の不正取締りと、その後の虚偽公文書作成について隊員7人が処分。神奈川県警にとどまらず、全国の取り締まり現場を揺るがす事態となりました。
1点の虚偽記載が、全国に影響を及ぼすことに
しかし、2716件もの交通違反が是正対象となったもっと大きな理由は、交通違反切符に実際とは異なる虚偽の記載をしたことです。
不正事件発覚のきっかけともなった2025年8月の車間距離不保持では、実際の追尾距離と違反切符に記載された追尾距離が異なっていることが明らかにされました。交通違反切符にも実際の摘発と同じ状況を記載していれば、巡査部長の主張にも肯定的な意見があったはずですが、この1点で、彼の関与した2562件の違反の是正が決まりました。
神奈川県警も同日、「本事案は県民の皆様の警察活動に対する信頼を損なう」として事案の詳細を公表するとともに、取締りが適正に行われていない可能性がある交通違反について、納付済みの反則金の還付(返納)、行政処分の違反点数の抹消などの是正措置を行うとしました。問い合わせ先として24時間対応の「是正プロジェクト コールセンター」を設けるなどしています。
そして、不正な取締り防止対応は、全国にも拡大することになりました。警察庁と都道府県本部は、違反取締り巡回チームを設置し、書類作成状況の点検や巡回指導を行うことを決めました。また、摘発状況を記録したドラレコ映像を、違反者自身が確認できる仕組みも採用されることになりました。
国家公安委員長「国民の信頼を失いかねない」
警察行政を監督する赤間二郎国家公安委員長は、同日の閣議後会見で次のように苦言を呈しました。
「警察活動は国民からの信頼の上に成り立つものである。今回の神奈川県警察の第二交通機動隊の事案については、国民の信頼を失いかねない重大な事案であると認識している」
また、交通違反の取締りの目的を次のように話します。
「交通違反取締りは、交通の秩序の維持であり、安全で円滑な交通環境を実現するために不可欠。交通事故抑止に資する重要な警察活動であると認識している。こうしたことを踏まえると、警察においては、交通事故発生状況に応じて悪意性、危険性、迷惑性の高い違反に重点を置いた交通事故抑止に資する違反取締りに努めている」
第二交通機動隊の処分では中隊長、小隊長に対して「職務懈怠(けたい)」という聞きなれない言葉が使われています。公務員や会社員が、与えられた義務や仕事を怠ることを意味します。このことが影響しているかはさておき、神奈川県の交通事故死者数は2025年全国で最も多くなりました。
今回の事案を機に、警察庁は全国の都道府県警に対して「適正な交通違反取締り」の取り組みとして、「ドラレコ映像の確認」などを通達しています。
違反者から「ドライブレコーダーの映像を見せて」と求められた場合に、その映像を確認することを指示しました。また、映像がある場合の否認事案について、実況見分調書ではなく映像を活用した捜査報告書を作成することや、カメラの積極的な導入、先端技術を活用した取締まり資機材についての研究・開発を「速やかに検討」するとしています。
今回の不正事案は、警察官の現認を優先するという取締まりの原則を改めるきっかけとなりそうです。
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。





MAZDA3のナンバーは隠してあって覆面パトカーのナンバー隠してないのなぁぜなぁぜ?