「これは特急ですか?」うっかり間違えそうな1日2本だけの“普通列車”が快適すぎる! のんびり3時間半の旅

JR予讃線の松山~宇和島間には、ちょっと豪華な普通列車が走っています。乗車すると、早朝にこの車両を使っている理由が見えてきました。

予讃線を走る「ほぼ特急形」の普通列車

 全国には「特急形車両を使った普通列車」が運行されています。多くは「特急列車の末端区間を普通列車とする」「特急車両の回送を普通列車として走らせる」「有料の通勤ライナーに特急形車両を投入する」といった運行がほとんどですが、JR四国の予讃線には一風変わった列車が走っています。

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JR四国キハ185系3100番台の普通列車(安藤昌季撮影)

 それは「特急形車両を格下げ改造した車両」による長距離の普通列車です。

 元の車両であるキハ185系は、1986(昭和61)年から国鉄が製造した特急形気動車です。現在もJR四国の特急「剣山」、JR九州の特急「ゆふ」などとして走っています。

 JR四国は、N2000系特急形気動車が登場した2000(平成12)年から、余剰となったこのキハ185系を普通列車用の3000・3100番台へと改造したのです。

 この改造は、外観の塗装変更と、座席の背面テーブル撤去、リクライニング固定化、座席カバーのビニール化にとどまりました。デッキ付きでクロスシートが並ぶ室内構成はそのままで、つまり「ほぼ」特急形の普通列車なわけです。

 現在も、この普通列車仕様の3100番台6両が予讃線の松山~宇和島間を走っています。定期運用は1往復のみですが、普通列車用として朝夕に柔軟に運用されているほか、臨時列車や増結用車両として使われています。

 定期運用されているのは、松山5時51分発の普通列車911Dと、宇和島6時10分発の普通列車628Dだけです。

 911Dに乗車しました。冬の早朝、金曜の松山駅は真っ暗で、夜行列車のようです。キハ185系3100番台2両編成ですが、特急でも3両編成が基本の区間ですから、見た目は特急そのもの。かつてヘッドマークが付いていた前面には「宇和島(長浜経由)」、側面には「普通」と書かれたサボが差し込まれています。

 駅のホームで筆者(安藤昌季:乗りものライター)が列車を観察していると、乗り込もうとしていた年配のご婦人に「これは宇和島に行く特急ですか」と聞かれました。「宇和島には行きますが、普通列車なので3時間半かかります。特急は別のホームから、もっと後に出ます」と伝えると、慌てて列車を降ります。

 改造後26年も走っていますが、現在でも「間違えられる」ほど特急の雰囲気ということです。実際、前述した格下げ改造以外は、設備もほぼ特急形です。ただし、トイレや洗面所は備わっていません。放送でも「車内にトイレはないため、駅のトイレをご使用ください」と案内されます。

【ほぼ特急形】これがキハ185系普通列車の「乗り得」車内です(写真)

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