石油じゃなくて「メタノール」これぞ現実的な次世代燃料? イラン情勢は大丈夫なのか?
大手船社らが連携し、横浜港で外航メタノール燃料船へ燃料を供給するトライアルが実施されました。新たな船舶燃料として期待されるメタノールはメリットもありますが、供給地の情勢は不安に。どうなるのでしょうか。
普及への次なる一手と「地政学リスク」
三嶋さんは「理想はバンカリングの拠点が増えていくこと。横浜港は当然、コンテナ船の寄港も多いのでターゲットとして考えているが、他の港で自動車船などバンカリングできる体制を構築したい」と話します。
三菱ガス化学は「英華丸」に加えて「和華丸」をメタノール輸送に使っており、これに他のケミカルタンカーを組み合わせることで国内全般にデリバリーができる体制を整えています。新規の大規模な投資が必要なく、既存インフラを活用できるのがメタノール燃料の強みですが、需要の拡大があれば、専用の大型バンカリング船が新造される可能性もあります。
「バンカリングをどう実施するかという許認可の部分がハードルとして残っていた。それを今回の横浜でのトライアルを通して、他の港で実施できるようにつなげていきたい」(三嶋さん)
一方で、日本のメタノールの供給は、ほぼ全量を輸入に頼っており、このうちサウジアラビア産が50%から60%を占めています。
2月28日に始まった米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃に伴って、ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで商船三井などは運航を停止。横浜港でメタノール燃料の供給を受けた後、サウジアラビアに向かった「第七甲山丸」もオマーン沖で待機を余儀なくされているようです。
三菱ガス化学は取材に対して、メタノールは北米や東南アジアなどでも生産していることに触れ、現時点だけ見ると「需給面ではダブついており、世界全体で品薄にはならない」としています。同社はベネズエラ、ブルネイ、トリニダード・トバゴに生産拠点を持っており、バックアップ手配などで、日本向けの供給維持を図っていく方針です。一方で「長引くと船に影響が出てくる」としており、今後の状況を注視しています。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。





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