日本初!「海外任務」メインの巨大巡視船が進水 なぜ“専用の船”が必要に? 背景には海保が直面する喫緊の課題あり
2026年3月5日、海上保安庁初となる「国際業務」を主要任務とした6000トン級の大型巡視船「ふじ」が山口県で進水しました。全長134mを誇るこの巨大な船は、なぜ国内警備ではなく海外派遣をメインに建造されたのでしょうか。
なぜ「専用の船」が必要に? 緊迫する日本の海事情
「ふじ」が建造される背景には「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた取り組みがあげられます。
海上保安庁は2000年から東南アジア周辺海域に巡視船を派遣しており、各国の海上保安機関との連携・協力関係の強化や、能力向上(キャパシティービルティング)支援による海上治安の改善に力を入れています。その回数は2025年1月の巡視船「せっつ」(3100総トン)の派遣で50回目となりました。
同年6月から7月にかけては、巡視船「みずほ」(6000総トン)が派遣され、外国海上保安機関に対する能力向上支援の専従部門「MCT(モバイルコーポレーションチーム)」によるマレーシア海上法令執行庁(MMEA)職員への海上犯罪の取り締まりを中心とした海上保安能力向上のための訓練を実施しています。
一方で緊迫感が増す尖閣諸島周辺海域での領海警備や大規模災害への対処など、国内において巡視船が担う役割が大きく増えています。このため従来は警備・救難業務の合間を縫う形で巡視船を海外へ派遣してきましたが、新たに国際業務を主要業務とする船が必要とされたのです。
「ふじ」の竣工は2027年度の予定で、就役後はさまざまな国との連携・協力を一層深めていく、日本の顔として活躍することが期待されています。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。





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