ホルムズ海峡閉鎖!→自衛隊は「日本の生命線」でタンカー守れるのか? 現行法での“ギリギリの対応”とは

中東情勢の緊迫化で、世界の石油・天然ガスの大動脈であるホルムズ海峡が事実上封鎖されました。もしアメリカなどから民間船の護衛を依頼された場合、海上自衛隊は現行法で対応できるのでしょうか。

「海賊対処」も使えない? 相手が“国”だとアウト

【ケース2 海賊対処行動】

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自衛隊が取り組む「ソマリア沖・アデン湾における海賊対処」の、第31次派遣海賊対処行動水上部隊として活動した海上自衛隊の護衛艦「いかづち」(画像:海上自衛隊)。

 それでは、日本関係船舶、もっといえば日本籍船以外を、武器を使用して防護するにはどうすれば良いのでしょうか。これに対応するのが「海賊対処行動」です。海賊対処行動とは、船舶に乗り込んだ者が海上(他国の領海は除く)を航行中の他の船舶を襲撃して、運航を支配したり、財物などを奪ったりする「海賊行為」(海賊対処法第2条)に対処するというものです。

 海賊対処行動の場合、海賊行為の被害を受けている船舶であれば、日本船籍に限らず、どの国の船舶であっても助けることができます。また、海上警備行動と同じく、海賊対処行動においても警察官職務執行法第7条の規定を準用している(海賊対処法第8条2項)ため、襲撃を受けている船舶を助けるために、護衛艦およびその乗員は武器を使用することができます。

 ただし、海賊対処行動に関してもいくつか課題があります。まず、国際法上、他国の領海内で起きた事案は海賊行為とは位置づけられず、「武装強盗」と呼ばれます。これは、海賊対処法においても同様です。ホルムズ海峡はオマーンもしくはイランの領海で構成されていますから、そもそも海賊対処行動での対応は、ホルムズ海峡周辺の公海もしくは排他的経済水域に限定されてしまうのです。

 また、対象となる行為が「私的目的」によるものに限定されているという点も問題となります。そもそも、海賊行為については国際法、具体的には国連海洋法条約第101条において「私有の船舶又は航空機の乗組員又は旅客が私的目的のために行うすべての不法な暴力行為、抑留又は略奪行為」と定義されています。つまり、「私人」が「私的目的」のために行うもので、これは海賊対処法で規定されている海賊行為についても同様です。

 つまり、今回のようにイランの公的な軍事組織である革命防衛隊が関与するような事案の場合、この「私的目的」という部分が問題となり、これを海賊行為と位置付けることはできないわけです。

 加えて、これは海上警備行動と海賊対処行動双方に共通する問題ですが、そもそもこれらの行動の下で行われる武器の使用は警察活動として行われるものであり、他国軍との交戦を行う権限を与えているものではありません。場合によっては、憲法が禁じる武力の行使に該当する可能性もあり、その場合には別途防衛出動という別形態での対応が求められることになりますが、その下令のための要件は非常に厳しく、対応は困難です。

 したがって、これらの行動によって、革命防衛隊による攻撃に対処することはできないわけです。

【派遣されるとすれば“最強の盾”か】海上自衛隊のイージス艦を写真で(画像)

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