開業26年 都営地下鉄の「苦労人」大江戸線、ついに黒字化?

乗客数は順調に増加、かつては批判も

 首都・東京の発展を期待された大江戸線。しかし、開業前後は膨大な建設費と開業の遅れ、乗客の少なさから批判の対象となりました。建設費の増加は、交差鉄道や埋設物の防護と道路復旧で940億円、水位や軟弱地盤、出入口の位置、施工計画確定などで860億円、バブル景気到来による地価、資材高騰、労務費の上昇で380億円、耐震補強で50億円などです。開業の遅れは前述の通りですが、遅れによる機会損失は1日あたり約1億円に上りました。総建設費9600億円のうち借入金は約7000億円あり、利息は1日あたり約5700万円かかり、営業収入の見込みが約4500万円だったためです。

 乗客数については、計画時の予測では1日あたり82万人を見込んでいました。しかし全線開業から1年目の時点では約51万人に留まっています。需要予測を過大評価した理由は、新駅の利用圏域を広くした(7万人の過大)、他路線との乗り換え時間が実際より短いと考えられた(2.5万人の過大)、目的地まで乗り換え回数の多さを考慮しなかった(4万人の過大)、バスからの移行を多く見積もりすぎた(0.5万人の過大)などです。このままでは赤字が続き、建設費も取り返せないという懸念が広がりました。

 しかし一方で、当初、見込んでいなかった需要もありました。夜間人口の過小評価で実際にはプラス0.8万人、六本木ヒルズや晴海トリトンなど沿線の開発によって、プラス2.5万人の需要がありました。開業後の伸び代はこの部分です。臨海部の大型マンション建設などの影響で人口が都心に回帰し、運行本数の増加によって乗り換え需要も増えました。2015年度の1日平均乗降客数は約91万4000人となり、計画時の1日あたりの需要予測を約10万人も上回っています。

 そしてついに黒字化の兆しが見えてきました。赤字額は、2010年度が約130億円でしたが、2015年度は約12億7000万円まで圧縮されました。100円の収入を得るために必要な経費(営業係数)が102円です。これまで通り利用者が増えれば収入も増え、営業係数は100未満、すなわち黒字になります。ちなみに浅草線の営業係数は67、三田線は81、新宿線は74です。大江戸線が黒字になれば、都営地下鉄は全路線で黒字となります。

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コメント

17件のコメント

  1. 大深度地下の建設費と乗り入れなしのハンデ考えれば、25年程度で黒字というのはなかなか立派なものですよ。ただし問題は以降の老朽修繕費。もう少しすればいろいろなところからガタがでてきますから、結果的に赤字になりかねない。

  2. 当初のコンセプトを曲げず、開業後もしっかり需給状況を把握したのも黒字化達成の理由かも。他の小断面地下鉄はみな黒字化は無理だろう。

  3. 都営地下鉄は新宿線と浅草線以外は赤字だし、メトロも副都心線は赤字だからな。
    大江戸線の光ヶ丘〜東所沢の延伸する位なら三田線の西高島平〜朝霞台駅の延伸が現実的で利便性が向上すると思う。朝霞台駅、北朝霞駅に接続すれば武蔵野線、東武東上線との乗り換えも出来るから大江戸線延伸より効果あるのでは?
    大江戸線は練馬〜新宿は混むし、深いから三田線延伸の方が利便性上がると思う。

    • その前に自分のコメント読み返してみたら?
      矛盾に気付かないかね。
      公共事業に地政学など無い。

    • 今列挙された路線がまだ赤字なのはある意味当然でしょう。なにしろ全線開業までの工事費用をまだきちんと回収しきれていないし(副都心線の開業は今世紀に入ってから)。ちなみに三田線(と南北線と埼玉高速鉄道と東急目黒線)の8両編成化はいつ?一応ホームの基礎工事は終わっているようですが。

    • 「西高島平から朝霞台をつなぐのが現実的で利便性が高い」とのご意見ですが、
      西高島平は高架駅だから高架で朝霞台までつなぐにしても道路ないし、
      西高島平から再び地下に?
      行政も検討すらしていないのに、現実的とは言えないと思うのですが・・・。
      また、東上線には有楽町線・副都心線が乗り入れしています。すでに都心部や渋谷(横浜)方面に
      移動できる中、わざわざ同じような路線(都心部・目黒(横浜)方面に移動できる)である三田線
      を延伸して利便性が高くなるとも言えないと思いまずが。

    • まるめぐぷうさん。
      大江戸線は赤字だし、大江戸線を延伸する位なら三田線を朝霞台駅まで伸ばした方が建設費縮小の点では良いし、大江戸線延伸部も住宅地がある上に長いので普通に三田線延伸の方が赤字を抑えられます。
      朝霞台駅(北朝霞駅)まで繋げば武蔵野線からの乗客を拾う事が出来るから大江戸線より赤字を抑えられる利点もあるし。

      板橋区民さん
      最終的な経路は同じですが、大手町や三田駅、羽田空港は三田線の方が便利です。
      蒲蒲線や大江戸線延伸より三田線朝霞台駅を伸ばした方が利益、赤字回収面で望ましいのでは?と思います。
      別に東武東上線を繋げる必要もなく、接続だけでも3社乗り入れる駅は大きいと思います。

  4. > 新たにホームドアを導入するなどの安全投資も必要です。

    とっくに完備されているというのに筆者は一体何を言っているんだろう。
    記事中の2009年の写真を見て、これから導入だと言っているんだとしたら、現実が正しく見えていないわけで、記事全体の信頼性が無くなります。

    赤字/黒字も、営業収支での話なのか、建設費回収も含めての話なのかをぼかすと意味が無くなります。

  5. 三田線の朝霞台乗りいれって、東武が拒否した訳で、今さら東武がやるとは思えない。
    三田線は主要駅から外れているから、利用者は多くないだろう。大手町なら丸ノ内線、日比谷なら有楽町線で済むから。
    大江戸線の方が主要駅を通るし、利用者は多くなるのでは。

    • 別に乗り入れる必要はないし、朝霞台駅(北朝霞駅)に接続するだけで充分だと思っています。
      1つの駅に乗り入れ路線が多いほど便利だし、朝霞台駅から三田駅で乗り換えられれば羽田空港が近いしな。
      大江戸線の場合、東所沢駅の乗り入れ路線が武蔵野線だけだし、車庫が地下にあるから新造車両の搬入費が三田線より高く付く。
      維持費や建設費の事を考えると大江戸線より三田線延伸の方が安くて利用者増加に見込めると言いたいだけです。
      それに朝霞台駅では東武に乗り入れる必要もないし、東武が直通拒否したければ拒否しても構わない。
      勿論、朝霞台駅(北朝霞駅)て武蔵野線や東武東上線と乗り換えできれば直通しなくても利用者取れるし、三田駅で浅草線に乗り換えれば羽田空港もほぼ近いから蒲蒲線が不要になる。
      大体、蒲蒲線は東急も京急も嫌がっているし、西武池袋線なら池袋でJRに乗り換えれば近いし、大江戸線からでも大門乗り換えで行けちゃう。
      朝霞台駅なら東武の10km台の運賃の高さなどで対羽田の利便性では対抗できるからね。

  6. 乗り入れしなくても東武はOKしませんよ。長距離の乗客流出になるのに?

    • どうかな、別にTJライナーじゃなくとも日中の快速、夕方の快速急行は50090系をクロスシートで運行すれば問題ないのでは?
      クロスシートは旅情よりもプライベートを作り出すには最適な椅子だし寄りかかっても安心して座れる。
      ロングシートは隣の客に気を使うから乗り心地悪いし。
      まぁ、朝霞台駅がダメならJR武蔵野線と同じ北朝霞駅の駅名で行っちゃえば良いよ。
      それで東武は小物と言われても仕方ないが。
      最も三田線朝霞台駅(北朝霞駅)延伸で寧ろ武蔵野線の客が三田駅経由になる事もあるから一概には言えない。

  7. 開業して16年じゃないかな。2000年開業でしょう?

    • 2000年は全線開業の年。それまでは光が丘から練馬周辺、6の字の上にはみ出た部分に当たる区間が部分開業していました。念のため。

  8. なんか言い合ってるけど机上の空論だよね