ホンダジェット、100年の道のりとは 宗一郎少年が見た夢からシェアトップ獲得まで

10年にわたる苦難を経て

 しかし「ホンダジェット」の開発はここからが苦難の始まりでした。商用飛行機として販売するには、アメリカ連邦航空局(FAA)およびヨーロッパ航空安全局(EASA)によって安全性などが確認された「型式証明」を取得する必要があり、順調に推移すれば引き渡し開始は2012年にも可能であると見込んでいたものの、量産機の開発遅れや型式証明取得のための試験が当初の見積もりよりもはるかに厳しいものであった現実から、数度にわたってスケジュールが延期されます。

 その間ホンダは「100機を超える受注」というアナウンスを実に10年にわたって何度も繰り返す苦しい状況に置かれ続け、その様子に対して冷ややかな視線を向ける者も少なくありませんでした。

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「ホンダジェット」引き渡し開始は2015年12月。実験機の初飛行から22年を要した(画像:ホンダ)。

 ようやく「ホンダジェット」がFAAの型式証明を取得したのは2015年12月8日。初飛行から12年目のことでした。ホンダエアクラフトカンパニーの藤野社長は「この日を生涯忘れない」と、これまでの苦難の道のりと喜びを語っています。

 藤野社長は過去に「ホンダジェット」に続く2機種目の開発についても語っており、VLJの枠を超えたさらに大型のビジネスジェットの開発に意欲を示しています。「ホンダジェット」の生産が軌道にのるなか、ふたたびホンダグループの「The Power of Dreams」の理念が我々を驚かす日は、そう遠くないのかもしれません。

 なお2017年上半期における競合VLJの出荷数は、セスナ「サイテーション・マスタング」が7機、「サイテーション・M2」が15機の合計22機、エンブラエル「フェノム100」が7機、ワンアビエーション「エクリプス550」が4機でした。ホンダは前述のとおり24機で、シェアトップの42%を獲得しました。

【了】

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