空で「見えないもの」に削られている飛行機 「見た目」だけじゃない再塗装の目的とは(写真67枚)
定期的に再塗装される飛行機。その目的は、「美観」や「ブランドカラー・ロゴなどの表示」といった「見た目」だけではありません。飛行機は航行中、“見えないもの”に削られており、そこで再塗装は大きな意味があります。
「見えない何か」に削られる飛行機
全日空(ANA)では、約6年から8年ごとに機体を再塗装しているそうです。その理由は、「美観」「ブランドカラー・ロゴなどの表示」といった、いわば「見た目」だけではありません。
2017年9月28日(木)、ANAのボーイング787-8型機(JA802A)が、大阪空港付近の整備工場(ANA HD傘下のMRO Japan)へ到着。そして10月23日(月)、ピカピカになってその工場を出ました。たまたま近くに駐機していた“使用中”のボーイング737と比べると、白さが違います。
ボーイング787-8型機の巡航速度は910km/h。高速で飛行するジェット機はそのとき、空気中の見えないチリに機体表面が削られます。紫外線も強烈で、雨やひょうの影響も。そうしたなか、再塗装は劣化が進行する前に機体表面を保護し、摩耗を防止するという目的もあるそうです。
ちなみに、このたび再塗装されたJA802Aは元「サバ」です。ANAはボーイング787型機のローンチカスタマーで、2011(平成23)年に同機を受領し、787による世界初の商業運航を実施。787の世界初飛行をPRするなどの目的で、のちに「サバ」と呼ばれる特別塗装を初号機と2号機に施していました。
JA802Aはその2号機。初号機はすでに通常塗装になっており、今回、2号機も通常塗装になったことから、787デビュー当時の「サバ」デザインは姿を消しています。
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Writer: 恵 知仁(乗りものライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
JALの貨物機で無塗装の試験してたけど、結局どんな結論になったんだろう。
無塗装は、塗料の重さがない、溶剤を使わない分環境負荷が少ないという理屈だったが。
大戦末期の米軍機もベアメタルで、これは最早圧倒的な制空権で迷彩が不要とも、反射で意外に大空に溶け込むとも聞くけれど。